飛行機と鳥が衝突! なぜ「バードストライク」対策は進歩しないのか
「バードストライク」とは何か

飛行機は物流・旅客など、さまざまな面で現代社会を支える交通インフラだ。そのため安全確保にはさまざまな対策が採られているが、そのなかでもいまだ満足な対応となっていないのが、飛び交う鳥への対策である。
飛行中の飛行機と鳥が衝突することを「バードストライク」という。鳥が衝突した程度なら大丈夫と思う人もいるかもしれないが、飛行機はものすごいスピードで飛んでいるので、衝突した時の衝撃は大きい。また、もしエンジン部分に鳥が吸い込まれると、エンジンが停止する可能性もある。最悪の場合は墜落につながりかねない危険性を備えているのだ。
実際に、バードストライクは各国の飛行機に対してさまざまな被害をもたらしている。
バードストライクの恐ろしさ

最近の事例でいえば、2022年11月に関西空港を離陸したチェジュ航空(韓国の格安航空会社)がバードストライクの被害にあった。飛行機は空港へ引き返し、乗客約180人の足に影響した。日本でも実際にバードストライクによる事故は起きているのだ。
有名なのは「ハドソン川の奇跡」という飛行機事故から生還した実話をもとに作られた、有名な映画だ。この事故も実はバードストライクに起因して発生した。鳥がプロペラに衝突してエンジン部分に吸い込まれたことで、両エンジンが停止してしまった……というのが事故の大まかな内容だ。
“奇跡”とあるとおり、機長の判断によりハドソン川に不時着することで事なきを得たが、あわや乗客150人の命が失われるところだった。この事故によってバードストライクが原因で発生する事故の深刻さが世界中に知れ渡るとともに、対策の重要性が再認識された。
たった1羽の鳥によって多くの人々を巻き込む大事故に発展するバードストライク。世界各国では、この重大な事故を起こさないために、どのような対策を採っているのだろうか。