ブルーインパルスは大丈夫? イタリア曲技機墜落&女児死亡に見る「鳥衝突リスク」とは
イタリア空軍のアクロバット・チーム「フレッチェ・トリコローリ」が、トリノ・カゼッレ空港を編隊で離陸する際、1機が墜落した。ブルーインパルスは大丈夫か。
事故の概要

イタリア空軍のアクロバット・チーム「フレッチェ・トリコローリ」が、トリノ・カゼッレ空港を編隊で離陸する際、1機が墜落した。搭乗していたふたりのパイロットは墜落直前に脱出しているが、飛行場付近を通過中の乗用車を巻き込んで5歳の少女が死亡、兄弟と両親もやけどを負っているという。
チームは翌日トリノで予定されていたイタリア空軍創設100周年航空ショーのリハーサルのため離陸するところで、目撃者がSNSに公開した動画によると、墜落した機体は編隊の僚機(所属を同じくする飛行機)とともに離陸の途中、高度を上げることができず滑走路に墜落している。
当局によると事故原因は調査中とのことだが、墜落機のパイロットはエンジン異常のため編隊から離脱することを無線で送信し、その後に脱出したという報道がある。鳥を吸い込んだことによるエンジン故障が、墜落原因として有力視されているようだ。
フレッチェ・トリコローリは古くから航空ファンによく知られているチームで、10機という多数機で編成され、雄大な編隊飛行と単独機による曲技を組み合わせた演技が特徴だ。その飛行技術は高く評価されており、世界最高のアクロバット・チームと評する声も少なくない。ヨーロッパ各地で行われる展示飛行には常連のファンが声援を送る姿も見られ、他国のチームとは別格の人気を誇っている。
その一方では、1988年に西ドイツのラムシュタイン基地において、飛行アクロバット・チームとして史上最悪の事故を起こしたことでも知られている。編隊と単独機が交差する演技で空中衝突を起こし、炎上する墜落機が観衆の中に飛び込んだことから、パイロット3人を含む70人が死亡、346人の観客が重傷を負うという大惨事であった。