ジャニーズ問題 大企業の広告打ち切り相次ぐも、単なる「右へ倣え」では? 「日産」「JAL」の人権意識は本物か
ジャニーズファンと広告出稿企業
企業がターゲットとする消費者の全てが起用タレントのファンであるわけはないが、
「ジャニオタ」
と呼ばれるジャニーズファンはSNSでの発信力が高く、「推し」が契約する企業との結びつきがひときわ強い。企業はそれも狙ってジャニーズタレントと契約する。
モビリティ企業でも、2023年5月にメンバー5人のうち3人が脱退したKing&Princeがホンダの企業CMに出演していた。メッセンジャーとして、電気自動車(EV)、カーボンニュートラル、安全へのこだわりなど、ホンダという会社の社会貢献をも含めた「いま」を伝えた。
ファンはCMを見るために企業サイトを繰り返し訪れて動画を再生したり、展示を訪れたりといった活動を行っていた。
最後の1か月は、グループを脱退する平野紫耀さん、岸優太さん、神宮寺勇太さんの背中を押すようなCMの内容であるとファンは感激し、脱退ギリギリまで契約が続いていたことにも感謝を示すファンの姿が目立った。ファンはスポンサー企業に感謝して、信頼し、愛するようになった好例である。
「午後ティー」CMを分析
よりわかりやすい飲料の話を例に見てみよう。
グループのSnow Manが自身の番組やYouTubeなどで、自身が広告に携わるスポンサー商品を紹介することもあって、ファンはさらに商品や企業に愛着を抱くことになる。
メンバーの目黒蓮さんが2023年に出演のCMのなかでキリン「午後の紅茶ストレートティー」を飲んでいたのを見て、SNSでは
「飲んだことなかったけれど、飲んでみたらおいしくて気に入った」
「コーヒー派だけど毎日飲んでいる」
「数年飲んでいなかったが飲み始めたら気に入って飲むようになった」
「ペットボトルは買わないタイプだったけれど飲んでみたらおいしくて買うようになった」
と書かれていた。
ストレートティーが、ミルクティーやレモンティーに比べると圧倒的に人気がなかったのが、ここで新たな、熱心な購買層を獲得していた。商品を気に入るだけでなく、推しとつながるために、スポンサーが推しを起用しつづけるよう、売り上げという目に見える効果を狙って購入する。そこにお茶の間ファンの売り上げも重なる。
定番3商品は直前にリニューアルもしたのだが、「6‐8月累月の販売数量は、前年同期比約2割増となり3か月連続で伸長した」と食品新聞に掲載された(2023年9月9日付)。
このキリンのCMは契約満了となるが、このように、広告が人の消費行動を変える、動かすという大きな役割を果たしている。