テスラ「自動運転タクシー」の潜在価値は130兆円 路地の多い日本でビジネス成り立つのか
投資銀行RBCキャピタルマーケッツは、自動運転タクシー市場に関する興味深いリポートを発表した。それによると、自動運転タクシーの市場は将来、全世界で8700億ドル(約127兆円)に達する可能性があるという。
タクシービジネス、激変の可能性

RBCキャピタルマーケッツのリポートには、テスラだけでなく、自動運転タクシー事業そのものへの大きな期待も含まれている。具体的には、交通事故の大半はヒューマンエラーによって引き起こされる。この部分を信頼性の高いAIに置き換えるだけで、事故の問題は解決できるというものだ。
いわゆる自動運転の場合、
「人間はミスをするが、AIは正しい情報さえ提供すればミスをしない」
という考え方がさまざまな場面で議論されてきた。GMクルーズがサンフランシスコで行っている自動運転タクシー事業では、AIに提供する情報の精度に問題があることなどから、大きな事故は起きていないものの、軽微な衝突事故はなくなっておらず、完璧な対応が確保できる段階には至っていない。
おそらくRBCキャピタルマーケッツは、テスラがこのようなAIのチューニングに関して業界をリードしていることを認識しているのだろう。テスラの自動運転タクシー事業「テスラネットワーク」については、その開始時期はまだ不透明だ。しかし、多くの投資家は、同社が創業以来、電動化と自動化で業界をリードしてきたことに自信を持っている。
彼らの未来予測はあくまで予測にすぎないが、2030年頃には北米のタクシーの25%が自動運転になると推定されている。しかも、1台あたりの初期費用はわずか5万ドル(約733万円)に落ち着くという。こうした自動運転タクシーが普及すれば、自家用車の存在意義が薄れるという予測もある。
いずれにせよ、2030~2040年頃、自動運転もタクシービジネスも激変する可能性が高い。ただし、これは道路事情など交通環境が自動運転に向いている北米だけの話である。日本ではどうなるかというと、状況は大きく異なるだろう。