黒船来る? 英巨大企業BAEシステムズ日本法人設立 国や日本企業が期待を抱く切実理由
「海外で売れない日本の防衛装備」の状況を変える?

ライク氏は、防衛省・自衛隊が導入するBAEの製品を日本国内で製造する計画はないと話す。新たに設立する日本法人は、陸上自衛隊が導入したAAV7などの同社製品に対するサポートなどに加えて、日本企業による同社製品のライセンス生産や、防衛省・日本企業ともに防衛装備品を共同開発することなどを推進していくとの見通しを示している。
これとは別に、BAEとの協業でメリットを得られると考えられる点がある。それは日本の防衛装備品の輸出においてだ。条件付きながら防衛装備品の海外移転を認めた防衛装備移転三原則が2014年4月に制定されてから7年以上が経過しているが、自衛隊から退役した航空機や航空機部品の譲渡を除けば、海外への防衛装備品の移転実績は、2020年8月にフィリピンとの間で成立した警戒管制レーダーしかない。その状況を変えられる可能性がある。
日本の防衛装備品が国際市場で競争力を持てない理由の一つは、輸出後のサポート体制が他国に比べて貧弱なことにある。工業基盤が充実していない非先進国への防衛装備品の輸出にあたっては、その後も長期に渡って保守整備のサポートが求められることが多いが、現時点で日本企業にはこれに対応できる能力はない。その一方でBAEシステムズは非先進国へ向けた防衛装備品の輸出実績が豊富で、保守整備だけでなくマーケティングやセールスのノウハウも保有している。
少子化解消の目途が立たない日本の現状では、将来的に自衛隊の規模縮小も検討せざるを得ないだろう。それは、ほぼ100%を防衛省・自衛隊からの需要に依存してきた国内防衛産業にとっては死活問題となる。
防衛装備品の国外移転には賛否両論あるところだが、国内防衛産業の基盤を維持していくためには、国外移転に活路を見出すほかはなく、そのためには経験が豊富な外国企業との協業は不可欠であると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思うし、BAEシステムズの日本法人設立は、それを進める上で好機になるのではないかとも思う。