「空飛ぶ通信基地局」実現近づく エアバスのHAPS 36日間の成層圏飛行達成

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エアバスが米国で実施した高高度滞空ソーラー型無人機(HAPS)「ゼファー」の2021年テスト飛行プログラムが成功裏に終了した。成層圏を36日間飛行、この滞空性能が空のゲームチェンジャーになる可能性がある。

無限の可能性を秘めた「インフラ」になり得る無人機HAPS

テスト飛行中のHAPS「ゼファー」(画像:エアバス)。
テスト飛行中のHAPS「ゼファー」(画像:エアバス)。

 エアバスが米国で実施していた、高高度滞空ソーラー型無人機「ゼファー」の2021年テスト飛行プログラムが成功裏に終了した。10月13日に発表した。

 ゼファーは高度1万m以上を飛行し、長時間滞空できる性能を持つ無人航空機だ。もともとイギリスの防衛技術研究開発が軍事目的で開発したものだったが、エアバスはこれを引き継ぎ、通信衛星や観測衛星を補完する高高度擬似衛星(HAPS:High Attitude Pseudo Satellite)としての利用を見込んでいる。

 エアバスは2021年テストにおいて、ゼファー専用の次世代光学地球観測システム「OPAZ」を搭載し、即時かつ持続的な状況認識を提供する能力を証明した。

 合計6回のテスト飛行は、低空での飛行を4回、成層圏での飛行を2回実施。成層圏での飛行は合計36日以上、887時間にわたって行われ、これまでの飛行時間と合わせると総飛行時間が2435時間に上った。「成層圏での長時間飛行が可能な唯一のHAPSであることを実証し」「固定翼HAPSにとって、成層圏における実際の運用に向けた大きな一歩」になったという。

 さらに、絶対高度7万6100フィート(約2万3200m)を飛行し、同クラスの無人機で世界新記録を樹立したそうだ。

 ゼファーはソーラー発電のみで駆動する。エアバスは「革新的でゲームチェンジャーとなる可能性」を秘めているとし、次のような用途を説明する。

「民間および防衛関係両顧客に新たな監視、検知、通信能力を提供します。森林火災や石油流出の拡大を監視するなど、災害管理に革新的な能力を付与することができます。また、常続的な監視能力、世界自然環境の変化追跡が可能になり、さらに、現在通信ネットワークのない世界の大部分の場所に通信能力をもたらすことが可能となります」

 このHAPSを、エアバスはNTTドコモとNOKIA(フィンランド)とともに、携帯電話通信に活用する共同研究を行うことに合意している(2021年2月)。かんたんに言えば「飛ぶケータイ基地局」の開発であり、成層圏の飛行で気象の影響も受けにくく、カバレッジ能力が飛躍的に拡張することが期待されている。