黒船来る? 英巨大企業BAEシステムズ日本法人設立 国や日本企業が期待を抱く切実理由

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イギリスの巨大企業・BAEシステムズが日本法人を設立する。防衛分野で距離を縮める日本とイギリス、その主たるプレイヤーとなる見込みだ。これまで米国と深い関係にあった日本がイギリスとの関係を深めていくメリットは何なのか。

日本じゃ知名度イマイチだったイギリス巨大企業BAE

航空自衛隊が1990年代にブリティッシュ・エアロスペースから購入したU-125A捜索救難機。BAEシステムズへの企業再編により、原型機は現在アメリカのビーチクラフト・コーポレーションの製品となっている(画像:航空自衛隊)。
航空自衛隊が1990年代にブリティッシュ・エアロスペースから購入したU-125A捜索救難機。BAEシステムズへの企業再編により、原型機は現在アメリカのビーチクラフト・コーポレーションの製品となっている(画像:航空自衛隊)。

 イギリスの巨大企業・BAEシステムズが2022年始めまでに、日本法人を設立する。2021年10月に開催された報道関係者向けのオンライン説明会で明らかにした。
 
 同社は、イギリスの航空機メーカーを統合する形で誕生した国営航空宇宙企業のブリティッシュ・エアロスペースと、GE(ゼネラル・エレクトリック)の傘下企業で軍を主な顧客にシステムインテグレーションを主業としていたマルコーニ・エレクトロニック・システムの統合により、1999年に誕生した企業だ。

 かつてのブリティッシュ・エアロスペースは、イギリスの国営造船企業ブリティッシュ・シップビルダーの事業の一部を引き継いでおり、BAEシステムズとなった2005年にはさらに、アメリカの大手装甲車両メーカーであるユナイテッド・ディフェンスを買収。その一方で採算性の低かった民間航空機部門などを売却・廃業して、陸海空を網羅する総合防衛・セキュリティ企業へと生まれ変わった。2018年にスウェーデンのストックホルム国際平和研究所が発表した前年の防衛関連企業の売上高で世界第4位、アメリカ企業以外ではトップの地位を占めるに至っている。

 BAEシステムズは2000年代中期には、イギリス企業の領域にとどまらないグローバル企業となっていたが、安全保障の根幹に日米同盟を置く日本では状況が異なる。日本国内で開発が困難な防衛装備品の多くはアメリカから導入しており、イギリスが開発した防衛装備品は、航空自衛隊が1990年代にブリティッシュ・エアロスペースから導入したU-125などごく一部に限られていたこともあって、BAEの日本国内での知名度はお世辞にも高いとは言えなかった。

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