黒船来る? 英巨大企業BAEシステムズ日本法人設立 国や日本企業が期待を抱く切実理由

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イギリスの巨大企業・BAEシステムズが日本法人を設立する。防衛分野で距離を縮める日本とイギリス、その主たるプレイヤーとなる見込みだ。これまで米国と深い関係にあった日本がイギリスとの関係を深めていくメリットは何なのか。

日本企業もウェルカム?

2021年9月に横須賀に入港したイギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」。同艦もBAEシステムズの造船所で建造されている(画像:海上自衛隊)。
2021年9月に横須賀に入港したイギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」。同艦もBAEシステムズの造船所で建造されている(画像:海上自衛隊)。

 日本国内では「知る人ぞ知る」企業であったBAEシステムズだが、その状況を大きく変えることになったのが、2000年代後半から本格的に開始された航空自衛隊のF-4EJ改戦闘機を後継する新戦闘機の導入計画「第4次F-X」だ。ここでBAEは、イギリス、イタリア、ドイツ、スペインが共同開発し、同社も開発と生産に携わる戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」を航空自衛隊に提案した。

 もちろん、航空自衛隊は創設から現在に至るまでアメリカと密接だ。国内開発した三菱F-1と、三菱重工業とジェネラル・ダイナミクス(現ロッキード・マーティン)が共同開発したF-2を除けば、航空自衛隊は一貫してアメリカで開発された戦闘機の運用を続けており、第4次F-Xでも、結局はアメリカ政府とロッキード・マーティンが共同で提案したF-35Aを採用している。

 しかしF-35Aは、過去に航空自衛隊が採用したアメリカ製戦闘機に比べて国内企業の生産分担が著しく減少した一方で、イギリス政府とBAEシステムズは日本国内での高い比率でのライセンス生産を容認しただけでなく、採用された際には将来の能力向上計画に日本企業が参画できる可能性も示唆した。このため、アメリカ製防衛装備品の輸入増加で売り上げが減少していた国内防衛産業や、同じ理由で自らの存在意義が脅かされつつあった防衛省技術研究本部(現・防衛装備庁)などは、イギリス政府とBAEシステムズの提案を好意的に受け止めた。

 これを機にBAEシステムズの認知度はもちろんのこと、イギリスと産業面でも防衛協力を推進していくという気運も高まった。現在は空対空ミサイルやレーダーの共同研究が行われているほか、次期戦闘機の開発でも協力に向けた話し合いが進められている。

 BAEシステムズで日本地区担当支配人のトーマス・ライク氏は、日本法人を設立する理由を次のように説明する。2021年9月の空母「クイーン・エリザベス」訪日が象徴するように、近年日本とイギリスの防衛分野での協力関係が急速に進化しており、BAEシステムズがイギリス政府の対日政策を支持していることと、同社が日本とインドを重要な戦略的市場と位置づけていることの2点を挙げている。

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