日産の苦悩 「ルノーEV新会社」への出資メリットは本当にあるのか? 技術流出の懸念も
ルノーがEVとソフトウエア専門の新会社「アンペア」の設立を発表し、日産がそれに対して15%出資することを発表した。これはEV化の動向を象徴するひとつの出来事だといえる。
ルノーのEV市場での立ち位置

ルノーは、欧州のEV市場で有力なプレーヤーとしての地位を確立している。ルノーも早期からEV開発に取り組んでおり、2012年に初の量産EVである「ZOE(ゾエ)」を発表した。このモデルは欧州で最も売れたEVのひとつであり、2021年までに累計約8万台を販売している。
2021年には新たな戦略的経営計画「Renaulution(ルノーリューション)」を発表し、2030年までに「テクノロジーを活用した自動車会社」から「自動車を活用したテクノロジー会社」に移行し、収益の少なくとも20%を自動車以外のサービスから得ることを目標に掲げた。EV領域では2025年までに10車種の新型EVを発売し全ラインアップの65%を、2030年までに欧州で販売するモデルの90%をEVとハイブリッド車にすることを目標に掲げた。
さらにルノーは2022年11月、今後は
・Power(パワー)
・Ampere(アンペア)
・Alpine(アルピーヌ)
・Mobilize(モビライズ)
・The Future Is NEUTRAL(循環型経済)
の5領域に注力していくとし、それぞれ新会社を設立すると発表。そのうちのひとつがアンペアであり、世界初のEV&ソフトウエア会社として、日産だけでなく、クアルコムやグーグルとも提携し、EVおよびSDVを開発していくと発表した。
また、ルノー・日産・三菱アライアンスのもとEVの共同研究や共同開発を行い、2023年にはルノーと日産でインドにおける生産と研究開発を強化し、EVの投入とカーボンニュートラルな生産体制へ移行する新たな長期ビジョンも発表している。