海外の「トレカコレクター」がわざわざ日本にやって来るワケ 越境ECとインバウンド増加の関係を考える
本稿では、ネット上の施策である越境ECと、現実世界における人の移動との関係について考えてみたい。
越境ECは成長のオプションに

しかし、外国人観光客がロイヤルティーだけで日本を訪れているとは必ずしもいえないだろう。
円安によって、日本はインバウンドにとって魅力的な目的地となった。また、渡航制限が撤廃され、多くの人が行きたいときに気軽に行けるようになったことも日本を選んでいると考えられる。
越境ECとインバウンドの増加には関係がある。ただし、先ほどのトレカ事業者のように越境ECと実店舗をうまく組み合わせているところもあれば、渡航制限が解除されて実店舗の顧客が戻ってきただけの事業者もある。人の移動はデジタル施策の巧拙にも影響される。
これまで日本は、国内で一定のマーケットを持つことができた。しかし、社会が成熟し、人口が減少していくなかで、同じ規模を維持することが難しくなってきている。資材や原材料の調達コストも為替などの影響で高騰している。
少なくとも当面はインバウンドによる外貨獲得が期待される日本にとって、越境ECは成長の選択肢となりえるかもしれない。