ルート案内だけじゃもう古い! いま問われる「カーナビ」の在り方、発想の転換が求められるこれだけの理由
車載機器として定着したカーナビだが、その可能性は十分尽くされているとはいいがたい。ここでは、カーナビの今後の可能性について考えていくことにしたい。
求められるカーナビの普及・改良

この例から発展させて考えると、現在の二車線以上の道路の車線減少と一方通行化を拡大すれば、道路交通量の削減により、歩行者・自転車、そして環境にやさしい街をつくる、カーフリーの発想に近い効果が期待できる。
同じく環境問題対策として注目される、自転車利用促進のための、専用道路の整備についても、費用の問題がよく指摘されるが、既存の道路の車線減少による一方通行化であれば、大きなコストをかけずに専用スペースの確保ができるメリットがある。
ただ、一方通行化は全面乗り入れ禁止よりも取り組みやすい対策であるとはいえ、自動車を利用する立場からすると、道順が複雑で運転がしにくくなり、また交通全体の収容量は下がるので、渋滞の発生も心配になるところだろう。
そこで期待されるのが、
「カーナビのさらなる普及と改良」
による、交通量の調節と連動した対策である。
機器購入の公的補助なども環境問題対策という認識の下で積極的に進められるべきで、またカーナビ機器には、従来のようなルートの誘導だけではなく、道路ごとの交通量をより精密に反映した情報を表示することにより、移動のタイミングや、ルートについてのドライバーの判断を細かくサポートすることが求められる。
しかしそれ以上に、世界的なカーフリーの動向を考えれば、筆者としては、目的地に「早く着く」ための自動車およびカーナビ利用という発想そのものを変える必要も指摘しておきたい。
この発想を変えず、移動ルートや移動距離について自動車の利用が「不便」になることに理解が得られないままでは、徒歩や自転車による移動の方が、自動車よりもメリットを発揮する余地は少なくなってしまうだろう。