トラック運転手の救世主? 日用品大手10社の「共同物流システム」導入、経営コンサルの私が感じる一抹の不安とは

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7月20日の日本経済新聞朝刊に「日用品、最大の物流連合」という見出しで、2024年問題に向けた共同物流システム基盤の運用開始の取り組みに関する記事が掲載された。この取り組みについて、物流業界はどのような期待と懸念を抱いているのだろうか。

取り組みへの懸念

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 では、何が懸念されるのか。

 この大きな取り組みを支えるシステムを開発したプラネットについて、もう少し説明したい。プラネットは、今回の取り組みに参加するユニ・チャームやライオンなど9社が、流通の効率化を目的に1985(昭和60)年に設立した会社である。

 つまり、この取り組みの下地は以前からあった。日用品業界では、単価が安くかさばる商品が多いため、効率化の取り組みは以前から行われてきた。この取り組みは、過去の取り組みを進化させ、加速させたものである。

 筆者は年間100社近くの荷主と話をするが、そのほとんどが2024年問題への取り組みの重要性を認識している。しかし、まだ対策に着手していない企業も多い。こうした企業の担当者は、

「自社だけでの取り組みは難しい。業界の動向に合わせる」

と口をそろえる。

 今回の取り組みは素晴らしいが、規模が大きいだけに業界全体の取り組みという意味合いが強く、他の荷主(メーカー)企業への影響は限定的だ。これが筆者の懸念である。

 今後、この取り組みが業界を超えてどのように広がっていくのか、行政やマスコミの活動にも注目したいが、今回の取り組みで「メッセージ」を受け取った荷主企業や消費者の意識が少しでも変わることを期待したい。

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