トラック運転手の救世主? 日用品大手10社の「共同物流システム」導入、経営コンサルの私が感じる一抹の不安とは
7月20日の日本経済新聞朝刊に「日用品、最大の物流連合」という見出しで、2024年問題に向けた共同物流システム基盤の運用開始の取り組みに関する記事が掲載された。この取り組みについて、物流業界はどのような期待と懸念を抱いているのだろうか。
「最大の物流連合」の取り組み

7月20日の日本経済新聞朝刊に「日用品、最大の物流連合」という見出しで、2024年問題に向けた共同物流システム基盤の運用開始の取り組みに関する記事が掲載された。この取り組みについて、物流業界はどのような期待と懸念を抱いているのだろうか。
紙面によると
「ユニ・チャームやライオンなど日用品メーカーと卸の合計10社が年内に共同の物流システム基盤の運用を始める」
とある。これにより、現状では数時間を要しているトラック運転手の納品時の荷降ろし時間を4割短くするというのだ。
取り組みに参加する各社は、プラネット(東京都港区)が開発した新たな物流基盤システムを通じて受発注を行う。このシステムを通して、メーカーの出荷商品データが事前に卸に共有される仕組みが確立される。
現状では、メーカーごとに納品伝票が発行され、卸の倉庫では紙ベースの納品伝票と実際の商品を1ケースずつ突き合わせる作業を行っている。この作業にはトラックドライバーの立ち合いが欠かせない。突き合わせで差異が発生した場合、ドライバーは出荷元への連絡などの追加の作業を行うため、荷降ろし時間がさらに延長してしまう。
この取り組みによって解決される課題はふたつある。
・紙ベースの納品伝票による非効率な入荷検品作業:データ連携により、機械検品による作業短縮と差異発生率の低減を実現
・メーカーごとに仕様が異なる納品伝票による非効率な検品作業:取り組みに参加するメーカーが同じデータで連携することで、作業が標準化
ここまでの説明で、この取り組みが便利で良いことは理解してもらえたと思う。しかし、なぜこの記事が「最大の物流連合」という強調された見出しで、日本経済新聞の1面に掲載されたのかについて背景を説明したい。