トラック運転手の救世主? 日用品大手10社の「共同物流システム」導入、経営コンサルの私が感じる一抹の不安とは
7月20日の日本経済新聞朝刊に「日用品、最大の物流連合」という見出しで、2024年問題に向けた共同物流システム基盤の運用開始の取り組みに関する記事が掲載された。この取り組みについて、物流業界はどのような期待と懸念を抱いているのだろうか。
取り組みへの期待

まずは、期待について話を進めたい。2024年問題によって労働時間が短縮されるトラック運転手の「運転時間以外の労働時間」が確実に短縮されることに注目する。
トラックドライバーにとって、納品時の立ち会いは必要不可欠な業務だが、そのために多くの時間が費やされ、運転時間の短縮につながっている。
特に、納品時の待ち時間は以前から問題視されていた。納品時間の予約システムは導入されているものの、納品時間の短縮にはあまり効果がないと業界では理解されている。
しかし、この取り組みは納品時間そのものを短縮することを目的としている。さらに、荷受け倉庫での作業もスムーズになり、トラックドライバーの待機時間の短縮にもつながるという、問題の本質を突いた取り組みだ。
入荷に関しては、入荷検品のレベルも問題である。例えば、日用品のような消費者に近い商品の場合、輸送中の外箱の汚れが入荷検品ではじかれてしまうことがある。実際に消費者の手に渡る包装に問題がなくても、である。
データ連携の問題が解消され、入荷作業の効率化が現実的になれば、次のボトルネックは入荷検査基準の緩和であり、検査基準は最低限まで引き下げられるようになる。
消費者に身近な業界である日用品業界の大手がこうした取り組みを積極的に導入することは、2024年問題に対する重要なメッセージともいえる。2024年問題は物流業界だけの問題ではなく、メーカーをはじめとする荷主と消費者が一体となって解決すべき問題であるというメッセージだ。
この取り組みが強いメッセージ性を持ち、日本経済新聞の1面を飾ったことは、2024年問題への大きな第1歩となることを筆者に期待させた。