トラック運転手の救世主? 日用品大手10社の「共同物流システム」導入、経営コンサルの私が感じる一抹の不安とは

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7月20日の日本経済新聞朝刊に「日用品、最大の物流連合」という見出しで、2024年問題に向けた共同物流システム基盤の運用開始の取り組みに関する記事が掲載された。この取り組みについて、物流業界はどのような期待と懸念を抱いているのだろうか。

物流業界を取り巻く現実

共同の物流システム基盤(画像:梶浦悠)
共同の物流システム基盤(画像:梶浦悠)

 主な理由は2点ある。

 1点目は、記事にもあるように、この取り組みが2024年問題への対策であることだ。ニュースでも2024年問題の特集が頻繁に組まれているので、多くの人がその存在を知っている。物流の遅れは実生活に大きな影響を与えるため、国民全体にとって極めて重要な問題である。再配達の削減やトラックの高速道路の最高速度の引き上げなど、身近な問題も含まれている。

 物流に関する記事が日本経済新聞の1面に掲載されるのは珍しい。6月6日にはセブン―イレブン・ジャパンが2024年問題の影響について加工食品の当日配送を停止し、小口多頻度物流から効率的な物流への転換を目指すという記事を掲載していた。しかし、その前の年の1面には、物流に関する記事は掲載されていない。この事実は、2024年問題が注目されていることを示している。

 6月2日、政府は2024年問題への対応策をまとめた政策パッケージを発表した。今回の取り組みは、この政策パッケージに沿って行われている。

 2点目は、この物流連合に参加している企業の規模である。この10社を合わせると、国内の日用品市場シェア(販売額ベース)の50%以上を占める。しかも、日用品業界は決して小さな市場ではない。人々の日常生活に密着した商品を提供する、消費者にとってなくてはならない産業である。そのような業界で、この物流連合が50%のシェアを占めているということは、非常に大きな存在感を示していることを意味する。

この2点が、日本経済新聞が1面で取り上げた理由だろう。

 この記事を見たとき、筆者(梶浦悠、経営コンサルタント)は2024年問題の解決策としてのこの取り組みに大きな期待を抱いた。同時に懸念も頭をよぎった。

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