「荷主にもペナルティー」 国の新方針を物流企業が能天気に喜べないワケ

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「荷主企業にも物流効率化を義務化すべき」、喜ばしいことではあるが、これを無条件に喜ぶ物流企業経営者がいたとすれば、それはあまりに能天気すぎる。

そもそも、物流危機の正体とその対策のポイントは?

運送のイメージ(画像:写真AC)
運送のイメージ(画像:写真AC)

「物流効率化に取り組まない荷主に対し、ペナルティー制度を法制化する」──。前回の記事(2023年2月8日配信「運送会社は結局、荷主のコマなのか? 意見すれば「順番飛ばし」の嫌がらせ 政府ペナルティー方針発表も 2024年問題乗り切れるのか」)で紹介した、思い切った方針を政府が打ち出したのは、それだけ物流危機が差し迫っているからである。ここでいう物流危機とは、物流の担い手、特にトラックドライバーの不足や(働き方改革関連法による)時間外労働の制限などによって、トラック輸送リソースが不足し、モノを運びたくても運べない、いわば「物流難民」が発生することへの危機感だ。

・2030年には、ドライバーが2015年比で24.8万人減少。11.4億トン(輸送需要の35.9%)が運べなくなる見通し
(2020年2月7日、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「ロジスティクスコンセプト2030」より)

・2030年には、9.4億トン(輸送需要の34.1%)が運べなくなる見通し
(2022年11月11日「第3回 持続可能な物流の実現に向けた検討会」における「『物流の2024年問題』の影響について(NX総合研究所)」より)

・2030年には、全国平均で約35%の貨物が運べなくなる見通し。特に東北・四国では、約40%の貨物が運べなくなる可能性
(2023年1月19日「トラックドライバー不足の地域別将来推計と地域でまとめる輸配送」/野村総合研究所)

 最近報告された輸送リソースの需給見通しのうち、代表的なものを挙げた。多少の違いはあれど、2030年には「運びたいモノ」のうち3割強が「運びたくとも運べない」ことになり、物流難民が発生すると試算されている。

 前回取り上げた荷主へのペナルティー制度にせよ、フィジカルインターネット(インターネットの仕組みをまねることで、荷主・物流企業の壁を超えた共同物流を実現すること)にせよ、最近議論される物流効率化への取り組みの大半は、物流難民の発生をいかにして抑えるかを模索する取り組みである。

 だが、ここで注意してほしいのは、こういった取り組みの主軸が「輸送リソースの減少にも耐えうる、効率的な輸送ネットワークの実現」に置かれていることである。

 トラックドライバーの減少対策は、物流効率化における議論において登場はするが、主軸ではない。この点について、運送会社は覚悟する必要がある。

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