「エンジン音」にこだわるのは時代遅れの“ノスタルジー”か、はたまた新たな価値創出か? EV隆盛時代に考える
昨今のEVのなかでもプレミアムレンジの高性能モデルについては、モーター走行音のみでは物足りないという意見が寄せられることが少なからずあるという。これはおそらく内燃機関モデルから乗り換えた人の意見だろう。
エンジンサウンドは「ノスタルジー」なのか

こうした人為的な走行音の操作は、子どもだましの様に思われるかもしれない。それではシビックe:HEVの音に対する評価はどうなのか。アクティブサウンドコントロールが作動するスポーツモードでの車内走行音に対する評価は、意外にも高いのである。
EVやハイブリッド車(HEV)におけるサウンドチューニングは、車外と車内それぞれに自由自在なコントロールが可能だという点が評価できる。商品としての期待値も高まるというものである。
夜間の住宅地などでは無音に近い状態で走行する。人通りが多い路地などでは相応の疑似走行音とともに走行する。郊外のドライブなどでは、一転して車内にそれなりの心地よいエンジン音を送出する。もちろん不要であればスイッチひとつで全てカットできる。いずれも場合でも、状況に応じて自由に選択できるというのがポイントになる。
ただし、こうしたアクティブサウンドデバイスは、その装備にはそれなりのコストが掛かる。EVにしろHEVにしろスポーツモデルやプレミアムモデルに限定しての装備となるだろう。もちろん、こうした疑似走行音チューニングではない、真のエンジンサウンドもまた今後はプレミアム性を高めて行くことは間違いないだろう。
それは
「消えゆくものに対するノスタルジー」
なのかもしれない。しかしクルマにとってエンジン音とはやはりなくてはならないものである。
願わくば、世の中で販売される新車がEVだけになっても、内燃機関で走行するクルマは1台でも多く生きながらえてほしいものである。筆者の場合も所有する1984年式某イタリア車を当面手放す予定はない。