「エンジン音」にこだわるのは時代遅れの“ノスタルジー”か、はたまた新たな価値創出か? EV隆盛時代に考える
昨今のEVのなかでもプレミアムレンジの高性能モデルについては、モーター走行音のみでは物足りないという意見が寄せられることが少なからずあるという。これはおそらく内燃機関モデルから乗り換えた人の意見だろう。
走行音は「商品価値」になるか

一方、クルマが発生する音については、別のアプローチからその存在が再評価されようとしている。それは走行音がクルマにおけるひとつの
「商品価値」
となるのではないか。という意見である。
昨今のEVのなかでもプレミアムレンジの高性能モデルについては、モーター走行音のみでは物足りないという意見が寄せられることが少なからずあるという。これはおそらく内燃機関モデルから乗り換えた人の意見だろう。
筆者個人的にはEVはそのモーター走行音にこそ異次元な醍醐味(だいごみ)があると感じているのだが、そういった感想は全ての人が抱いているわけではない。やはりクルマはそれなりの走行音を出してほしい。特に加速時などに強くそれを感じるという意見には一理あるだろう。
実際のところ、2010(平成22)年、2014年と自動車の騒音規制が順次強化された後も、自動車設計の現場では絶対的な音量は低減させつつも、音質にはそれなりに留意した排気系の設計が行われてきた。
基本的には静かだがドライバーにとっては心地よい音にするためのサウンドチューニングが施されてきたということである。こうした設計は、どのメーカーでもプレミアム性の高いスポーツモデルでは実施されてきた。
ならばそれがたとえEVやPHEVであっても走行音のサウンドチューニングはアリである。その結果、近年はホンダ・シビックe:HEVの様な、
「本来のものとは異なるエンジン音」
をサンプリングと補正で人為的に合成し、走行シチュエーションに合わせて車内のスピーカーから流すアクティブサウンドコントロールというデバイスを装着する例も現れることとなった。