EVとエンジン車のシェアは「数年」で逆転する? 過去の経済理論に見る業界の破壊的変化、EV普及は単なる「技術移行」ではない
中国EV御三家の代表が「中国のEVシェアは2025年までに80%を超える」と発言した。自動車業界に起きつつある変化を文明史的な視点から眺めてみると、その発言が大げさではないことがわかる。
状況は「上海ショック」以上
4月18日~27日に開催された上海モーターショー以来、日本の自動車業界には「上海ショック」が吹き荒れているという。そうしたなか、「中国のEVシェアは2025年までに80%を超える」と中国EV御三家の代表が発言した。世界全体で自動車業界に起きつつある変化を文明史的な視点から眺めてみると、その発言が大げさではないことが理解できる(前編・中編・後編の後編)。中編は「「EV = 走るコンピューター」が理解できない日本人! テスラ・中国勢がなぜ圧倒的躍進を遂げているのか、その根幹をまずは知るべきだ」(2023年5月21日配信)
◆◆◆
本稿では、今、モビリティ分野で起きている変化のスケールとスピード、それが日本にもたらす危機を解説する。今直面している変化が、「上海ショック」どころか、はるかに大きく深刻であることに気づくだろう。
100年に一度の転換期
今、モビリティ分野で起きている変化は、しばしば「100年に一度」と評される。確かに、ほぼ一世紀前にもモビリティの大転換が起きた(図)。
このときは馬から自動車への転換だったのだが、ニューヨークの5番街を写した写真で分かるとおり、1900年からわずか10年あまりで一気に変わっている。
このときから100年の時を経て、再びモビリティの大変革が起きようとしているのかもしれない。以下、何が起きようとしているのか眺めてみる。