辛口の「自動車評論家」はなぜ消えたのか 読者も怒り心頭? 背景にあったメディア業界の笑えない窮状とは
廃刊に追い込まれる雑誌

2022年、日本の総広告費は電通の調査によると対前年比104.4%。総額7兆1021億円に達した。そのなかで、インターネット広告費は対前年比114.3%の3兆912億円だった。日本の総広告費におけるインターネット広告費が占める割合は43.5%に達している。
現時点でインターネット広告費以外の数字は、
・テレビ
・ラジオ
・新聞
・雑誌
などで分け合う形となっている。そのなかで一番多いのがテレビだ。その次が新聞、そしてラジオと雑誌がほぼ同率で最下位を争うという勢力図となっている。
こうした状況を振り返るまでもなく、昨今の広告媒体としての雑誌の衰退には目を覆うべきものがある。歴史ある雑誌が休刊という名の事実上の廃刊に追い込まれる例は枚挙にいとまがない。
インターネットメディアの特徴

こうした時代の急流に翻弄(ほんろう)されているのは自動車雑誌も同じである。
何とか雑誌という形態を維持していても、広告の受け皿媒体としての主力は同時に運営されているインターネットメディアとなっている例も少なくない。
そしてこうした流れは、自動車関連メディアとしてある深刻な問題をもたらしている。それは
「長文でしっかりとしたリポート」
が激減しているという事実である。
インターネットメディアでのリポートにはある特徴がある。それは一般的に
「総文字量が少ない」
ということである。
多くの場合、一画面に表示される文字数は500字程度。総文字量がそれ以上の場合は複数のページに分割されるが、それでも5ページ程度というのが大半である。すなわち総文字数は
「2500字程度」
である。これは筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)が現在執筆しているインターネットメディアの多くにも共通している。なかには10ページに分割といった例がないわけではないが極少数である。