辛口の「自動車評論家」はなぜ消えたのか 読者も怒り心頭? 背景にあったメディア業界の笑えない窮状とは
自動車関連メディアの深刻な問題。それは「長文でしっかりとしたリポート」が激減しているという事実である。また、かつてのような舌鋒鋭い辛口評論家も姿を消している。
長文を読んでもらえない現状
一方、過去に筆者が「アメ車マガジン」(文友舎)という雑誌で毎月連載していた1台のクルマをじっくり紹介する4ページ企画の総文字数は
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「6000字から8000字」
に達していた。正直、ある1台を詳細に紹介するにはこのくらいの文字数は必須である。2500字程度では概要をサラリと紹介するといった内容に抑えざるを得ない。
実はインターネットメディアがその勢力を拡大し始めた頃、
「インターネットだったら雑誌と違って文字数制限はないよね」
といった話題が同業者間で語られていた。しかし実際はさにあらず。前述したとおり、インターネットメディアはひとつの画面に表示させる文字数には見やすさを優先するがゆえの縛りがある。
さらに、最初のページから2ページ目へと「次のページ」をクリックさせるハードルがなかなかに高い。これはニュースサイトなどで実感している読者も多いだろう。最初のページで概要がわかってしまうと、「もう十分」と感じてしまう例が多い。2ページ目以降は有料会員のみといった設定になっていればなおさらである。
その結果、インターネットメディアでの自動車紹介記事は、基本的に
「あっさりとしたもの」
ばかりになってしまった。筆者はモーターファン(三栄)のインターネットメディアで個性的なエンジンを紹介する連載を持っているが、そちらは最初からコアなユーザーを対象とした有料ページである。そうでもしなければ、長文は読んでもらえないのが現状である。