辛口の「自動車評論家」はなぜ消えたのか 読者も怒り心頭? 背景にあったメディア業界の笑えない窮状とは

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自動車関連メディアの深刻な問題。それは「長文でしっかりとしたリポート」が激減しているという事実である。また、かつてのような舌鋒鋭い辛口評論家も姿を消している。

辛口評論家「三本和彦」という過去

三本和彦『三本和彦、ニッポンの自動車を叱る』(画像:二玄社)
三本和彦『三本和彦、ニッポンの自動車を叱る』(画像:二玄社)

 こうした現状は、1台のクルマについてじっくりと濃密に紹介するといったリポートが減る原因となった。そうした文章を得意とする自動車評論家やライターがその能力を発揮する場がなくなってしまったのである。

 既に故人ではあるが、三本和彦(1931~2022年)という自動車評論家の名前を覚えている人は少なくないと思う。

「辛口ではあるが公平」

使う言葉にはクセがあるが読みやすい。コワモテだが親しみやすい。雑誌もそうだが、長年にわたって司会とリポートを務めた「新車情報」(テレビ神奈川)を通じても知られた存在だった。

 現在、氏の様な公平辛口な存在の評論家となると残念ながら見当たらない。もちろん過去に氏のそれにも似たリポートを得意としていた人物はいたが、現在のインターネットメディアメインの状況ではその実力を発揮する機会がないのである。ならば単行本はどうか。こちらは

「雑誌以上にお先真っ暗」

な状態である。

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