「サービス業としてのドライバー」が抱えるジレンマとは【短期連載】どうなる?これからのトラックドライバー(2)
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運送会社が目指すべき、ドライバーのサービス業化とは?
前回は、「これからのトラックドライバーは、サービス業であるべき」と、古参ドライバーを辞めさせてまでサービス業のマインドを備えたドライバーを育て上げた運送会社のエピソードを紹介した。
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これからの時代、運送会社が売上の拡大を目指すのであれば、それはドライバーを長時間労働に駆り立てる以外の方法でなければならない。そう考えると、ドライバーに対しサービス業のマインドを身に付けさせることは、運送会社が競合との差別化を実現する活路の一つではある。
サービス業とは、顧客に対し「快適なコト」「心地良いコト」「有益なコト」「情報」など、無形のサービスを提供する業務を指す。勘違いされがちなのだが、接客業は、サービス業の一種に過ぎない。
では、ドライバーが提供可能な「無形のサービス」とは何か。
(1)サービス業のマインドを身に付け、集荷先、配送先の担当者から、信頼される人間関係を築くこと。
(2)集荷先、配送先が本来行うべき作業を、代行すること。
(3)輸送業務とは異なる、別の役務を提供すること。
前回で紹介した運送会社が目指したのは(1)であろう。この運送会社では、社長が社員に対し、ドライバーに言葉遣いや態度、清潔な姿格好など、サービス業のマインドを身に付けてもらうよう徹底的に指導した結果、従来の取引先からの信頼度が上がったと、社長は主張する。
その言葉に嘘はないし、事実だと思う。だが、それは、運送会社の売上向上に貢献できる武器となり得るのだろうか。率直に言って、私はとても難しいと思う。
ドライバーが、もし仮に完璧なホテルマンのような接客能力やコミュニケーション能力を身に付けたとしたら、確かに担当者の好感度は上がるだろう。だが、そこまでだ。運賃にまで転嫁するのは、とても難しい。
(1)が不要とは言わない。むしろ、必要だと思う。だがそれは日本社会全体が、粗暴な態度や言葉遣いをする者を排除する方向に進んでいるからであって、ドライバーに限らず、全労働者に求められている素養であろう。運送会社が売上向上を求めて目指すべき、ドライバーのサービス業化とは(2)および(3)である。