いまだ闇の中? 都内23区をぐるりと回る「東京環状地下鉄構想」の現在、結局どこへいったのか
- キーワード :
- 鉄道
「そういえば、わが街の地下鉄環状線計画はどうなったのか」と思い出した都民も少なくないだろう。地下鉄環状線計画とは、俗にいう東京地下鉄環状線構想のことだ。いったいどこへいったのか。
沿線は560万人の人口密集地域

環状線の主なねらいは、
1.23区外縁地域の交通利便性向上
2.鉄道網のレジリエンス(復元力)強化
のふたつである。
まず「1」についてだが、23区の外縁9区の人口は実に約560万人(2022年。以下同じ)に上り、23区全体(約927万人)の半分以上で、日本屈指の人口密集地帯でもある。特別区人口ランキングで1位の世田谷区(約90万人)を筆頭に、何と北区を除く8区がトップ10入りを果たすほどである。
翻って東京の鉄道網の発達ぶりは世界トップクラスだが、その構造は少々いびつだ。都心のJR山手線と郊外のベッドタウンを結ぶ放射状の鉄道が極端に発達し、
「自転車のハブ(車軸)&スポーク」
にも例えられる。
反面、スポーク同士を途中でつなぎ隣の路線に簡単にアクセスできる線路が極端に少ない。強いていえば環状線のJR武蔵野線がその役目を担うものの、山手線から約20kmも離れ、連絡線として使うには「手間・ヒマ・コスト」的に見てあまり便利とはいえない。
このため都心~郊外間の数十kmの交通は至便な反面、都心から10~15kmの外縁部で南北間を移動しようとすれば、いったん都心まで出て山手線などに乗り換えて大回りするか、路線バスを利用するのが一般的である。その結果、たかが数km先の目的地に行くのに
「最低1時間」
というのも特段珍しくない。
つまり560万人都民にとっても不便な南北方向のアクセスを環状線で劇的に改善し、ついでにスポーク状の路線群をほぼ全て接続し、「ネットワーク力」も強化して首都・東京の国際競争力も高めようという着想である。