大江戸線「延伸」に暗雲か? 練馬区以遠は「事業性に課題あり」、背後にちらつく東京メトロ上場の影

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都営大江戸線の延伸計画に暗雲が立ち込み始めている。その背景には一体何があるのか。

全線開通は2000年

大江戸線(画像:東京都交通局)
大江戸線(画像:東京都交通局)

 東京12号線(都営地下鉄大江戸線)の延伸計画に暗雲が立ち込み始めている。新型コロナ、ロシアのウクライナ侵略の予期せぬダブルパンチに加え、岸田政権が立て続けにぶち上げた防衛費倍増計画、異次元の少子化対策の財源確保のため、増税や歳出カット、国有財産売却の嵐が今後吹き荒れることは確実で、延伸計画にとってものすごい逆風になりそうだ。

 大江戸線は2000(平成12)年に全線開通し、都心をぐるりと回る「環状線」と都庁前駅(新宿区)から北西に伸びる「放射線」からなるが、JR山手線のように完全には周回せず電車はいったん放射線へと進む「6の字型」の運行スタイルをとる。

 問題の延伸計画は放射線の終点・光が丘駅(練馬区)から同区西端の大泉学園町を抜け、

・新座市(埼玉県)
・清瀬市(東京都)
・所沢市(埼玉県)

を経て、JR武蔵野線東所沢駅に至るルートを想定し、総延長は約12.1kmに達する。便宜的に光が丘~大泉学園町区間(練馬区間)約4kmと大泉学園町~東所沢区間(埼玉区間)約8.1kmに大別される。

練馬区北西部は「鉄道空白地域」

大江戸線の路線図(画像:日本地下鉄協会)
大江戸線の路線図(画像:日本地下鉄協会)

 大江戸線が構想された1960年代前半の段階ですでに延伸計画も想定され、1991(平成3)年の部分開業に合わせオープンした光が丘駅は延伸を見越した設計になっている。

 また、放射線が新宿駅まで伸びた1997年に沿線の自治体による推進協議会も結成された。予想ルートとなる練馬区北西部地域は23区内でも数少ない

「鉄道空白地域(鉄道駅まで1km以遠)」

で、この解消は都や同区の最重要課題でもあり、同区は2011年から計画推進のため基金積み立てを行いすでに50億円に達している。

 同様に都も「鉄道新線延伸等準備金(仮称)」を設けて約800億円まで積み増しており、この一部を大江戸線の延伸計画に充てる予定で、また2022年度には初めて調査費として2200万円を計上している。