「乗って終了」はもう古い? 観光列車の目的「沿線経済の活性化」に本腰入れて考えるときがやって来た

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豪華さを味わえる観光列車が日本各地に登場している。一方で、沿線で買い物をして経済効果をもたらす乗客をいかに呼び込むかが課題となっている。

進む豪華化「100万円」超えるチケットも

会津鉄道の観光列車「お座トロ展望列車」(画像:写真AC)
会津鉄道の観光列車「お座トロ展望列車」(画像:写真AC)

 車窓の美しい風景を楽しみながら、高級シェフが腕をふるう料理を味わう――。ヨーロッパのオリエント急行のような豪華さを味わえる観光列車が日本各地に登場している。

 観光列車の豪華さは加速するばかりで、今や

「100万円」

を超えるチケットも登場しているほどだ。一方で、「地域振興」を期待できるような観光列車の新設も増えている。観光列車は、日本の観光産業に何をもたらすのか。

 今話題の観光列車とは、特別仕様の車両を使用し鉄道旅行そのものを目的とした列車である。最も妥当な定義は、研究者の藤田知也氏が著書『観光列車の経済学的研究:地方鉄道の維持・振興と地域活性化に向けて』(大阪公立大学共同出版会、2021年)のなかで述べている。

1:主な利用者は観光客であり
2:観光資源を含み
3:特徴的な内外装デザインを持っている。
4:独自の愛称を持ち、専用車両で運行される

この定義に基づく観光列車のパターンは、大きくふたつある。

・富裕層をターゲットにした豪華列車
・鉄道ファンや一般旅行者を対象にした大衆的な列車

 いずれも沿線の観光をセットにしていたり、地域の名産品を使った食事を楽しめたりするのが当たり前となっている。

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