「高齢者を敬え」「常に空けろ」 ネットの“優先席”論争はなぜ異常なほど白熱するのか?

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公共輸送機関を利用する人にとって、優先席は身近な話題だ。普段から譲ったり譲られたりすることはあり、優先席には座らないと決めている人でも、優先席を巡るやり取りを見ていて、思うところがあるだろう。

想像力と優しさが支える「優先席」

鉄道の優先席(画像:写真AC)
鉄道の優先席(画像:写真AC)

 公共輸送機関は、

・さまざまな事情を抱えた
・さまざまな立場

の人が利用する。優先席はそういう多様な人の事情や立場に対する想像力と優しさによって成り立つ仕組みである。それなのに、優先席問題が感情的なののしり合いに発展するのは残念なことだ。

 争いを防ぐためには、適応機制の仕組みを知り、自分や他者の適応機制を意識下に置く必要がある。

・自分は自分の心を守るために合理化や攻撃をしていないか
・自分の攻撃的な感情を相手のものと思っていないか
・相手の行動は適応機制ではないか

自問自答してみるとよいだろう。

 一方、優先席問題に関して、建設的な議論が盛り上がるのはよいことである。自分の意見と異なる多様な意見を知ることで、異なる立場の人に対する想像力を持つことができる。そして、それは自分がよりよい振る舞いをするにはどうすればよいか、ひいては、社会や制度をどうしていくべきかの参考になる。

 コメント欄でも公共輸送機関のなかでも、争いになりそうなときは、感情的な書き込みや行動をする前に、まずは

「一歩引いた位置」

から、双方の心のなかで起きている現象や、相手の事情、立場などを考えてみるとよいのではないだろうか。

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