「線路に侵入 → SNS投稿 → 大炎上」はなぜ繰り返されるのか? 発信者と受信者が持つ「現代的欲求」の正体

キーワード :
,
線路に侵入した様子をSNSなどネット上にアップし、炎上する事例がたびたび起きる。なぜ、そうした事態が頻発するのだろうか。

違法で危険な行為

田園地帯の線路(画像:写真AC)
田園地帯の線路(画像:写真AC)

 線路に侵入した様子をSNSなどネット上にアップし、炎上する事例がたびたび起きる。最近ネット上で話題になったのは、江ノ島電鉄の線路に立ち入った女性インフルエンサーだが、過去には著名な女性タレント2人が書類送検されたこともある。

 なぜ人々は線路上で写真や動画を撮りたがるのだろうか。これについては臆測の域を出ないが、「撮影場所」としての線路はそれなりに魅力的である。普段は歩かない場所なので、「非日常感」を出せる。並行する2本のレールは力強く、遠近感を出す構図をつくりやすい。「どこかに続いている感=未来を予感させる感」的なものもありそうだ。

 線路の上でバランスを取りながら歩いたり、バランスを崩したりすれば、被写体の自然でダイナミックな動きを引き出せる。『スタンド・バイ・ミー』みたいでカッコイイなど、思い当たるフシはたくさんある。

 一方、無許可で線路に立ち入るのは悪いことである。自分の身を危険にさらすことになるし、立ち入った影響で列車の遅延などが発生すれば、人的被害はなくても多くの人に迷惑がかかる。また、線路への侵入は「鉄道営業法」や「刑法」によって罰せられ得るし、鉄道会社に損害を負わせれば損害賠償請求をされる可能性がある。

 筆者(島崎敢、心理学者)は、この問題は基本的に、撮影に関わった人と鉄道会社の2者間の問題だと思っている。つまり、やってはいけないことを、魅力的なのでやってしまった人(=加害者)がいる。その結果、被害者である鉄道会社が怒った。やってしまった人は鉄道会社に謝罪や賠償など、しかるべき対応をし、法に触れる部分は法律によってしかるべき処罰を受ける。日本は法治国家なので、基本的にはこれで完結である。

全てのコメントを見る