JR四国の鉄道ネットワーク壊滅? 輸送密度「4000人未満」全廃の未来なき未来、再構築協議会の行方どうなるのか
国土交通省はローカル鉄道の存廃協議で、輸送密度1000人以上の区間も対象になり得るとする方針を固めた。路線維持を願う地方には衝撃だ。
8月基本方針に向け、国交省が転換

鳴門線は朝のラッシュ時を除いて1時間に1本のダイヤで運行している。区間は鳴門駅から池谷駅までの鳴門市内8.5kmだが、ほとんどの列車が池谷駅で高徳線に乗り入れて徳島市の徳島駅まで運行している。
鳴門線の輸送密度はコロナ禍前の2019年度で1925人。1989(平成元)年度の2454人より20%以上減ったが、1000人台を維持している。ローカル鉄道の存廃協議は輸送密度1000人未満の区間が対象になると見られていただけに、鳴門市は胸をなで下ろしていたが、気がかりな点が出てきた。国交省が1000人以上の区間も対象になり得るとの方針を固めたことだ。
JR東日本やJR西日本が存廃協議入りを求めているのは2000人未満の区間だが、国交省の有識者会議が目安として提言したのは1000人未満。これを受け、国交省がローカル鉄道の存廃を含めた将来像の検討を促すため、地域公共交通活性化再生法の改正に踏み切ったわけで、対象は1000人未満の区間というのが共通認識だった。
しかし、10月に施行される改正法は、存廃協議の対象を「大量輸送という鉄道の特性を生かすことが困難な区間」と規定し、具体的な数値を示していない。改正法の国会審議で
「1000人以上は協議しなくていいのか」
と指摘する声が出たこともあり、国交省が唐突に方針転換したようにも見える。
新しい目安は旧国鉄の特定地方交通線と同じ輸送密度4000人未満が有力で、1000人未満の区間を「特に優先度が高い区間」とする。特急列車や貨物列車が運行するなど交通ネットワークに欠かせない区間は外すと見られる。国交省鉄道事業課は
「8月に改正法の基本方針を出す予定で、最終的な詰めの作業を続けている」
と話した。