“園児置き去り事故”を根絶したければ、各幼稚園の「ローカルルール」を結集させなさい
「装置を取り付けたら安心」ではない
2023年も徐々に暑くなり、既に日中の駐車車両のなかは危険な温度になっている。
2022年、2021年と、園児が保育園バスに置き去りにされ亡くなる事故が立て続けに起きたため、内閣府は本年度から、保育園や幼稚園、特別支援学校などの約4万4000台のバスに「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置(以下、置き去り防止装置)」の設置を義務付けた。
このような装置の義務付けは、痛ましい事故を防ぐのに有効であり、歓迎するべきだが、一方で「装置を取り付けたら安心」というわけにはいかない。国交省もガイドラインのなかで、装置は完璧ではないので
「あくまでも送迎用バスの運行のための園のマニュアルの運用などのソフト面での対策と組み合わせた上で効力を発揮する点に留意が必要である」
としている。
そこで今回は安全装置の信頼性や装置に依存する人間の心理、安全のために努力する人を勇気づける方法なども含め、確実な再発防止に向けて私たちは何をするべきなのか考えてみたい。
2種類ある防止装置
置き去り防止装置には、
・降車時確認式
・自動検知式
の2種類の方式がある。
降車時確認式は、バスのエンジンを切るとブザーがなり、そのブザーを止めるにはドライバーがバス車内最後尾のボタンを押す必要があるという装置だ。これにより、ドライバーは強制的にバス車内の最後尾に行かなければならないので、そのときに置き去りにされた子どもを発見できるだろうという発想だ。
もちろんこれには一定の効果はあるが、確認の主体が人間であるので、見落としがないとは言い切れない。特に
「何らかの事情」
でドライバーが急いでいたり、考え事をしていたりすれば、見落としのリスクは高まる。加えて、ボタンを押したことで「確認できた」と思い込むため、例えば登園しているはずの子どもが見当たらないときに、バス車内が捜索の対象範囲から外されてしまう可能性がある。