園児置き去りを本当に防ぐ気はあるのか? 当事者が感じる「通園バス」安全装置義務化への根本的疑念
静岡県での通園バス置き去り死亡事件を巡って、安全装置の設置の義務化が明らかになった。ただそれだけで根本的な解決になるのか。
置き去り防止装置の設置義務化

静岡県の認定こども園で通園バスに取り残された3歳の女児が死亡した事件を巡って、小倉將信(まさのぶ)子ども政策担当大臣が9月29日、置き去りを防ぐ安全装置を通園バスに設置するよう義務化する方針を明らかにした。今後、関係法令の改正や装置導入のための予算が計上される見込みだ。
2021年7月の福岡県中間市での事件を含め、同様のことはこれまでも多く発生していたが、行政の危険性に対する問題意識は低かった。福岡県の事件後、国は自治体に対して次の項目の確認を通知している。
・出欠状況の保護者への確認と職員間の情報共有
・登園時や園外活動前後のダブルチェックでの人数確認
・送迎バスへの運転手以外の職員の同乗と乗降時の人数確認
・危機管理マニュアルなどの見直し
ところが、静岡県の事件の記者会見では、園が過去にも
・乗せ忘れ
・誤乗車
などのヒューマンエラー(災害の原因となる人的ミス)を繰り返していたことが判明した。
これに対して、静岡県は2021年11月の監査で、通知部分について口頭での注意喚起しか行っておらず、実施状況を調べていなかったこともわかった。年度途中での通知だったため、新たなチェックを導入しなかったのだ。