「キャブレター式バイク」はなぜ消えたのか? ノスタルジックで魅力的も、バイクに迫る世知辛い規制の山

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かつては「バイク = キャブレター式」というイメージを持つ人も多く、2ストロークバイクには必ずキャブレター式エンジンが載っていた。しかし近年では、新車として販売するケースはめっきり見かけなくなった。なぜか。

衰退した原因

排ガスが少なく、燃費・出力にもたけたF.I.(フューエル・インジェクション)のイメージ画像(画像:ヤマハ発動機)
排ガスが少なく、燃費・出力にもたけたF.I.(フューエル・インジェクション)のイメージ画像(画像:ヤマハ発動機)

 キャブレター式のバイクが衰退した原因のひとつには、

「インジェクション式」

の登場と普及にある。インジェクション式とは、随所に設置されたセンサーからエンジンの状態などをコンピューターが解析し、それを基に最も適切な量の燃料を噴射するというものだ。

 外気温や天候に影響されることなく、エンジン始動も容易で、アイドリングも安定しやすい。さらに、キャブレターのような物理的な交換やメンテナンス作業を頻繁に行う必要はない、という点もメリットだ。

 キャブレター式は構造がシンプルでメンテナンスがしやすい反面、外気温やエンジン状態によって

・エンジンが始動しにくくなる
・アイドリングが安定しにくい

弱点がある。加えて、定期的なメンテナンスも必須だ。もしメンテナンスをせずに長期間放置してしまうと、キャブレター内で腐食が進行し、ベンチュリ効果(流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させると、圧力が低い部分が作り出される現象)を阻害。結果的に、エンジンがかかりにくくなってしまう。

 インジェクション式の登場で、高頻度のメンテナンスや不安定なアイドリング、そしてエンジン始動の面倒臭さなどに悩まされることなく、バイクをより気軽に楽しめるようになった。その技術は、1982(昭和57)年に発売された国内市販車初のインジェクション式バイク「Z750GP」(カワサキ)を皮切りに、普及し始めた。

 また、ある出来事がキャブレター式バイクを衰退の道へと追い込むことになっていく。

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