そういえば、バイクの「運転代行サービス」はなぜ存在しないのか?

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自動車の運転代行サービスは年々、その需要を増している。ドライバーのなかには利用経験がある人も少なくないだろう。しかし、バイクの運転代行サービスは存在しない。一体なぜなのか。

ふたつめ「随伴用車両の存在」

自動車運転代行業者数(画像:警察庁のデータを基にMerkmal編集部で作成)
自動車運転代行業者数(画像:警察庁のデータを基にMerkmal編集部で作成)

 もうひとつの理由は、運転代行サービスの代行者が利用する「随伴車」の存在である。そもそも運転代行のシステムは、ドライバーがふたり1組になり、ひとりが利用者の車を運転し、もうひとりが随伴車として追走する。そして利用者を自宅に届けた後、代行者が会社などへ帰社するときに使うものである。

 この随伴車は代行業者のみ利用できる車であり、利用者が乗車することはいわゆる

「白タク乗車」

に該当する。「白タク乗車」とは、国から営業許可を得ずにタクシー業務を行い、利用者から運賃をもらう行為。「白タク」という言葉は個人用の自動車を用いて営業する「白色ナンバーのタクシー」から由来し、もし白タク乗車が発覚した場合は道路運送法違反となり、運転者側が罰せられる。

 さらに、随伴車にも細かな規定が存在する。公安委員会からの認可のみならず、

・代行運転自動車標識を前面の見やすい箇所に掲げる
・車体のドア横に、自動車運転代行業者の名称又は記号、認定を行った公安委員会の名称及び認定番号を掲示
・表示灯の設置

などの条件が求められている。一般車両と見比べて判別がつきにくいような随伴車用自動車は認可が下りないのだ。

 では、もし随伴車が「バイクを載せられるトラック」なら問題ないのだろうか。前述したとおり、随伴車に乗車することは禁止されている。利用者が乗らずにバイクを運べばよいと考えがちだが、ここにもさらなる問題がある。

 まず、バイクの運搬には「一般貨物自動車運送事業許可」が求められる。ちなみに、「貨物用軽自動車運送事業認可」をもらった軽トラック、いわゆる「黒ナンバー」では最大積載量が総合計で350kgと限られるため、ハーレーなど一部の大型バイクは載せられない。

 そのうえ、旅客扱いをするにはタクシーと同じ「一般乗用旅客自動車運送事業」の認可が別途必要であるため、「一般貨物自動車運送事業許可」および「貨物用軽自動車運送事業認可」の車両を使いまわせない。

 もし、無許可で代行サービスを行うと、白タク違反として罰則3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる。さらに二種免許を取得していないなら、無免許運転扱いとなるため、免許停止となってしまう。

 過去に、自動車でもバイクでも、第二種免許を持たずに無許可で運転代行を行っていたケースも何件か発生しており、警視庁でも問題視している。

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