VWが中国安徽省にバッテリーシステム工場 BEVサプライチェーンの確立を急ぐ

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フォルクスワーゲンの中国法人が、安徽省合肥市にバッテリーシステム生産工場を建設。EV専用プラットフォームの生産に合わせて、バッテリーシステムを年間15万から18万個生産する計画だ。背景には、中国国内でのEVサプライチェーンの確立を急ぎたい事情がある。

中国でのビジネスを維持・拡大する狙い

中国の安徽省合肥市に建設を計画している工場のイメージ(画像:フォルクスワーゲン)。
中国の安徽省合肥市に建設を計画している工場のイメージ(画像:フォルクスワーゲン)。

 フォルクスワーゲン(VW)の中国現地法人は2021年9月、安徽省合肥市でバッテリーシステム生産工場の建設を始めたと発表した。工場を管理するVW Anhui Componentsは、同グループが100%所有する中国初のバッテリーシステム工場となる。

 初期の年間生産能力は、VWのバッテリーEV合弁会社であるVW安徽が生産するEV専用プラットフォームのMEB(Modular Electric Drive Toolkit)と歩調を合わせ、バッテリーシステムを15万から18万個生産する予定だ。工場の敷地面積は4万5000平方メートルを超え、VW安徽の工場に隣接している。VWの中国法人は、2025年までに1億4000万ユーロを新規工場および施設に投資する予定で、2023年下半期の生産開始(SOP)を目指している。

 MEB車両用バッテリーシステムは、複数のセルモジュール、セル管理コントローラ、バッテリー管理システム、コネクタストリップで構成され、高電圧コネクタを介して相互接続され、アルミニウム製バッテリハウジング内で保護されている。

 製造プロセスには、フレーム製造用とシステム組立用の二つの製造ラインを持つ製造ステップが二つ存在する。バッテリーシステムの製造、組み立て、試験は、デジタル化された製造プロセスを目指すVWのビジョンに沿って、最先端の技術を活用し、各段階で高度な自動化を行う。これはすでに天津工場で試験が開始されている。

 VWグループは、中国市場での販売台数が多いことで知られている。ともに年間販売台数1000万台前後となるVWとトヨタだが、VWは中国市場で約400万台を販売、一方のトヨタは約150万台と大きな差がある。

 VWは中国国内での強いブランド力を活かしながら、EVの販売によって優位性をさらに確実なものとすべく、中国国内でのEV生産サプライチェーン(供給網)の確立に投資を続けてきた。今回の発表に先駆けて、安徽省合肥市を拠点とする中国3位のバッテリーメーカー国軒高科の株式をすでに26%取得したことも発表されている。

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