VWがノースボルトに680億円の追加出資 加速するEVバッテリー企業の争奪戦

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フォルクスワーゲンが、バッテリーメーカーのノースボルトに対し6億2000万ドルを追加出資する。同社はスウェーデンのノースボルトと早くから関係を深めてきたが、この動きはEUが導入を目指している国境炭素税への対策と合致する。

バッテリーメーカーに追加出資

ノースボルトのギガファクトリー「Northvolt Ett」(画像:フォルクスワーゲングループ)。
ノースボルトのギガファクトリー「Northvolt Ett」(画像:フォルクスワーゲングループ)。

 フォルクスワーゲン(VW)は2021年6月、スウェーデンのバッテリーメーカー、ノースボルトに対し6億2000万ドル(約5億ユーロ、約680億円)を追加出資すると発表した。今回の追加出資により、ノースボルトは資金調達ラウンドで総額27億5000万ドルを調達。VWはノースボルトの株式の約20%の持分比率を維持することとなる。

 調達した資金は生産、リサイクル、研究開発などの分野に充当される。さらにノースボルトは、顧客からの需要拡大に対応するためスウェーデン北部のシェレフテオに設立するギガファクトリー「Northvolt Ett」の生産能力を年間40ギガワットから60ギガワットに拡大させる見込みだ。

車載バッテリーの獲得競争

 車載バッテリーの確保に向かう自動車メーカーによって、世界各地でバッテリーメーカーの争奪戦が起きており、大規模な提携のニュースが連発している。ご存じの通りテスラはパナソニックと共同で最初のギガファクトリーを立ち上げ、トヨタもパナソニックともに合弁企業プライムプラネットエナジー&ソリューションズを設立、直近ではGMとLG化学、フォードはSKイノベーションとそれぞれ大規模な提携を結び、バッテリー増産体制の構築に急いでいる状況だ。

 なかでも特に意欲的なEV増産計画を進めているVWは、EU域内向けのバッテリー生産体制として早くからノースボルトとの関係を深めてきた。スウェーデンは国内の発電量をほぼカーボンニュートラル(水力40%、原子力40%、風力10%など)でまかなっている国として知られており、VWはグリーンな電力で作られたバッテリーをEU域内で調達できる委託先として重要視している。

 この動きは、EUが2023年初頭に導入を目指している国境炭素税への対策としても合致している。EU域内からグリーンなバッテリーを調達できること自体が、VWにとっての大きなアドバンテージになる可能性があるため、他の自動車メーカーもその動向には細心の注意を払っているはずだ。

 VWは2019年6月時点ですでに約9億ユーロをノースボルトに投資しており、同社の株式の約20%と取締役の席を確保している。VWは、ノースボルトと共同してプレミアムセルの生産拠点をスウェーデンのシェレフテオに設立。2023年に生産を開始し、生産能力を年間40ギガワットまで段階的に引き上げていく予定だ。

 VWはさらにドイツ国内のザルツギッターでもギガファクトリーを運営しており、2025年からはボリュームセグメント向けの統一規格セルを生産する。ここでの生産能力も年間最大40ギガワットを目指す計画で、これら二つのギガファクトリーはいずれも再生可能エネルギーによる電力によって稼働する予定だ。

 VWは今後の全体像として、EV生産の増加を確保する観点からパートナー企業と共同で2030年までに欧州内に6か所のバッテリーセルを生産する工場を建設する計画で、シェレフテオ、ザルツギッターに続く工場の候補地と提携予定のパートナー企業についても具体的検討に入っている。

ノースボルトとの関係を強化

 フォルクスワーゲンのCFO(最高財務責任者)兼IT部門責任者アルノ・アントリーツ氏は、「今回の投資によって、再生可能エネルギーを利用して製造された総合的にリサイクル可能かつ持続可能なバッテリーサプライヤーであるノースボルトとの戦略的パートナーシップを今後さらに強化していく」と述べた。

 テクノロジー担当取締役兼VWグループ・コンポーネンツCEO(最高経営責任者)のトーマス・シュマル氏は、「バッテリーは、当社最大の電動化攻勢における主な成功要因の一つだ。特にグリーンバッテリー分野は、本国ドイツと欧州においてパイオニア的な役割を担っている」とアピールした。