VWが中国安徽省にバッテリーシステム工場 BEVサプライチェーンの確立を急ぐ
サプライチェーンの確立を急ぐVW
VW Anhui Components Companyは、VW安徽所有のEV生産拠点の近くのサプライヤーパークに新設することで、物流とコストの効率化と市場投入期間の短縮を実現する。工場は4万5000平方メートル以上、サッカー場8.4面分に相当する敷地面積を有する。SOPのタイミングには、約200人の従業員が働くことになっている。
新設する工場では、ブランシュヴァイク(ドイツ)や天津に所有するバッテリー工場のシナジー効果を活用。さらにVWグループの中国法人のMEBをベースとした電池工場との連携・シナジー効果を高める。
ブランシュヴァイク工場は、バッテリーシステムの計画・開発・生産をリードする工場だ。現在新設されている安徽省などの施設にはドイツの専門家が支援している。現場の専門家に加えて、連携の橋渡しとしてドイツからの支援を行うチームもある。
安徽省の工場で行われているバッテリーの組み立て能力は、チェコと米国でも同様に提供される予定だ。VWグループは数年後、年間100万台以上のバッテリーシステムを製造する計画を立てている。
従業員は天津工場のコンポーネント教育アカデミーで教育を受けるほか、第一線の従業員は最先端のVRトレーニングを受け、部品の紛失や事故のリスクを排除し、トレーニングサイクルを短縮して物理的な場所の必要性を減らすように教育される。
関係者のコメント
VW中国法人の最高経営責任者(CEO)であるステファン・ウォレンシュタイン博士は、「VWグループのプラットフォーム戦略は、eモビリティ時代への過渡期における競争優位性である。将来的にBEVが大幅に増加する中、バッテリーシステムなどの主なコンポーネントをバリューチェーンに組み入れ、グループ全体のシナジーとイノベーションを発揮していかなければならない。VW安徽とVW Anhui Components Companyの両社は当グループにおいて強力な合弁会社であると同時に、当グループの電動化戦略と、2030年までに40%以上のNEV(New Energy Vehicle、新エネルギー車。EV・FCV・PHEVを指す)生産を達成するというVWの中国法人の目標達成に不可欠な存在である」と述べた。
VWグループ技術取締役兼VW・グループ・コンポーネンツCEOのトーマス・シュマール氏は、「バッテリーシステムの開発と生産は、バッテリーに対する全責任の達成において重要なステップである。したがって、VW安徽は当グループのグローバルなバッテリー戦略の重要な柱である。当グループのグローバル戦略は、原材料市場における垂直統合から、バッテリー工場の建設、パートナー(主に中国の電池メーカー、国軒高科(Gotion High-Tech))と共同のバッテリー工場、さらには二次電池ソリューションやリサイクルまでをリードするといったものだ。現在、将来のMEBをベースとした電池システムの需要拡大に対応すべく、アジア、欧州、米国にMEB電池製造工場を建設しているところだ。ドイツのブラウンシュヴァイクにある当グループの工場では、年間最大50万台のバッテリーシステムを生産でき、計画・開発・生産に関する専門知識をもって生産能力の強化を後押ししている」と述べた。
VW中国法人のエグゼクティブバイスプレジデント兼ロジスティクス兼品質担当であるフランク・エンゲル氏は、「VW Anhui Componentsは、当グループのBEVシステムとeモビリティ戦略のバックボーンの提供を目指している。新設した工場では、中国市場に向けた次世代バッテリーを製造する強固な基盤も提供する」と述べた。