大手私鉄の兼業といえば「不動産」「流通」も、戦前はなんと電気事業が圧倒的だった!

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大手私鉄はコングロマリットを形成しているが、戦前はそのなかでも電気事業が圧倒的な存在感を占めていた。その歴史をたどる。

20世紀初めの電力業と電鉄の発展

 20世紀に入ると、大都市に路面電車が広まり、沿線での電気事業に乗り出す例も増えた。

 今も存在する事業者でいえば、京浜急行電鉄の前身の京浜電気鉄道は1899(明治32)年に自社で火力発電所を設けて開業したが、1901年に沿線での電力業を始めている。20世紀初めは電力も電車も発展が急だった時代で、関西では現在の五大私鉄が1914(大正3)年までに創業もしくは電化して出そろい、関東でも京成や京王が開業している。これらの会社も沿線で電力業を営んだ。

 電力業では1907年に東京電灯が山梨県の桂川に駒橋水力発電所を開設して、日本初の長距離送電を実現した。水力発電所と長距離送電の組み合わせが実現したことで電力の価格は低下し、ガス灯との競争が電灯の決定的勝利に終わった。これ以降、水力発電の開発が急速に進んでいくこととなる。

 そんな状況を受けて、それまで電気については警察による安全の取り締まりしかしていなかった政府も、電力業を育成しつつ監督するため、逓信省(郵便や電信・電話、海運や灯台などを監督する役所で、電信電話で電気と縁のあることから監督官庁となった)を監督官庁として、1911年に電気事業法を制定した。今でも同じ名前の法律が存在する、電気事業の基本となる法律である。

 今の法律では第2条に、こまごまと電気事業に当たるものが何か掲げられているが、まとめていえば、発電したり送電したり、一般需要家や他の電気事業者に電気を供給したりする事業ということになる。当たり前だと誰しも思うだろう。ところが1911年の元祖・電気事業法の第一条はこうなっているのである。

第一条 本法に於て電気事業と称するは左に掲ぐるものを謂ふ
一 一般の需要に応じ電気を供給する事業
二 一般運送の用に供する鉄道又は軌道の動力に電気を使用する事業
(原文は旧字体・カタカナだが、読みやすく新字体・ひらがなに改めた)

 1911年に定義された「電気事業」とは、電気を供給する事業だけではなく、電気で電車を運転する事業も含んでいたのである。それだけ当時は、電力と電鉄の関係が密接だったといえそうである。

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