日本経済を今後左右? 中国~ヨーロッパを結ぶ貨物列車「中欧班列」という、いまだ知られぬ輸送手段とその重要性
国際間貨物輸送の手段として、鉄道の価値が一段と高まっている。その背景には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」によってユーラシア大陸を横断する鉄道網の整備がある。
ユーラシア大陸を横断する鉄道網
国際間貨物輸送の手段として、鉄道の価値が一段と高まっている。その背景には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」によってユーラシア大陸を横断する鉄道網の整備がある。
海運とは切り離された内陸部諸国を、新たな原料供給地・市場として開拓している。そんな鉄道網の整備は日本の経済にどのような影響を及ぼすのか。
中国の国有鉄道会社・中国国家鉄路集団は6月2日付で、中国とヨーロッパを結ぶ貨物列車「中欧班列」の実績を公表した。先の先進7か国(G7)広島サミットに対抗して、中国が開催したとされる中国・中央アジア首脳会談を受けて発表された。
これによれば、同国中央部にある都市・西安発の、中央アジア方面に向けた貨物列車と貨物量は
・貨物列車:2244本(前年比60.4%増)
・貨物量:201万t(前年比73%増)
になったとされている(2023年5月まで)。同じく6月5日付の発表では、2023年の中欧間の列車本数は既に3000本を越えており、前年度比で
「14.8%増」
としている。
中欧班列(トランス・ユーラシア・ロジスティクス)は、中国政府が一帯一路の核と位置づけている国際貨物列車だ。東アジア諸国から海陸で集められたコンテナを、鉄道に積み替えて中央アジア諸国やロシアなどを経由してヨーロッパまで鉄道輸送する。
2011年3月、南西部の都市・重慶発でドイツのデュイスブルク行きで始まった国際貨物列車は、2013年、習近平国家主席が
「陸のシルクロード」
と位置づけたことで、整備が急ピッチで進むことになった。
一帯一路の核とされたことで、沿岸部に比べて発展が遅れていた内陸部の地方政府が補助金を投じて整備を進めたのが、その理由のひとつだ。