CO2削減はここまできた! フランス鉄道2時間半以内の「国内線禁止」、急進的な法案の効果限定的も 今後拡大の可能性はあるのか
フランスで5月23日、高速鉄道で移動できる短距離区間での航空機利用を禁止する法律が施行された。しかし、実際には3路線のみで、影響自体は限定的だという見方が多い。
現在の影響小さくも、今後は未知数

さて、今回の法案はただの見せかけの「ショー」だという意見もある。
2019年、マクロン大統領が創設した市民150人から成る「市民会議」が提案した当初の航空機禁止案は、
「片道4時間以内」
だった。しかし、エールフランス‐KLMなど航空業界の反対もあり、最終的に片道2時間半へと短縮された経緯がある。
環境団体T&Eの推計によると、今回廃止された3路線はフランス本土からの出発便全体におけるCO2排出量の0.3%、本土の国内便でも3%で、与える影響は小さいとされている。しかし、本当にそうだろうか。
確かに温室効果ガスの排出削減という目的への影響だけで見ると限定的だが、これを皮切りに短距離間の航空機を徐々に廃止する流れが始まったことは間違いない。
これまでとは大きく異なるような新しい法案を通す際、まずは「影響の少ないもの」、もしくは「少なく見えるもの」から始めるのは、お決まりのルールだ。空港や航空業界からの批判や反対を受け流すために、今回の妥協案を通したとしたらなかなかの策士でもある。
数年後には4時間以内のフライト禁止、乗り継ぎ便も適用、さらには
「欧州連合(EU)内全て」
なんてことが起こりえない、とは誰も断言できないのだ。