CO2削減はここまできた! フランス鉄道2時間半以内の「国内線禁止」、急進的な法案の効果限定的も 今後拡大の可能性はあるのか

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フランスで5月23日、高速鉄道で移動できる短距離区間での航空機利用を禁止する法律が施行された。しかし、実際には3路線のみで、影響自体は限定的だという見方が多い。

東京~伊丹、大阪~福岡間廃止のイメージ

のぞみ(画像:写真AC)
のぞみ(画像:写真AC)

 仮に、この法案が日本で施行された場合はどうなるだろうか。

 日本国内の該当路線は、その多くが「ドル箱」路線だ。新大阪~東京間の移動は、最も停車駅が少ない「のぞみ」で所要時間150分弱。新大阪~博多間も「のぞみ」利用で2時間半ルールが適用となる。

 この2路線が廃止となると、新幹線に乗客が殺到して大混乱を起こすことは確実だ。さらにお盆休みや年末年始などのピークシーズンでの大混乱を考えると、そこから航空機の選択肢が消えるのはあまりに厳しい。新幹線の運行本数を増やすとしても、需要と供給の差に限界はある。

 地震大国の日本にとっては、災害時のために代替手段を存続させておくことも重要だ。ひとつの手段に傾倒してしまうことは、合理性の面でも、経済的な面でもリスクが高い。羽田~伊丹線は2019年度、約529万人が利用している国内第4位の人気路線であり、それを失うことになる伊丹空港は大ダメージである。

 主要空港に限らず、地方空港の存続問題やそこで働く従業員の雇用問題など、航空業界、鉄道業界ともに影響は計り知れない。取り組みとしては非常に面白いが、現時点では、日本での施行は現実的ではない。

期待される環境問題への取り組み

プライベートジェットのイメージ(画像:写真AC)
プライベートジェットのイメージ(画像:写真AC)

 航空業界に期待される温室効果ガスの削減だが、路線の廃止以外にもさまざまなアプローチ方法がある。

 民間航空機と比較して約20倍の二酸化炭素を排出するプライベートジェットの制限や、バイオ燃料などの持続可能な航空燃料(SAF)の活用などだ。

 バイオ燃料に関してはコスト面や供給量で課題山積だが、プライベートジェットへの規制に関しては徐々に進められている。

 2023年4月、オランダの主要空港であるスキポール空港は2025年から2026年まで、プライベートジェットと小型のビジネス機の乗り入れの禁止を発表している。

 空港にとって大きな利益となるプライベートジェットへの規制はこれまでタブーだったが、少しずつ変化が起きている。

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