CO2削減はここまできた! フランス鉄道2時間半以内の「国内線禁止」、急進的な法案の効果限定的も 今後拡大の可能性はあるのか
東京~伊丹、大阪~福岡間廃止のイメージ

仮に、この法案が日本で施行された場合はどうなるだろうか。
日本国内の該当路線は、その多くが「ドル箱」路線だ。新大阪~東京間の移動は、最も停車駅が少ない「のぞみ」で所要時間150分弱。新大阪~博多間も「のぞみ」利用で2時間半ルールが適用となる。
この2路線が廃止となると、新幹線に乗客が殺到して大混乱を起こすことは確実だ。さらにお盆休みや年末年始などのピークシーズンでの大混乱を考えると、そこから航空機の選択肢が消えるのはあまりに厳しい。新幹線の運行本数を増やすとしても、需要と供給の差に限界はある。
地震大国の日本にとっては、災害時のために代替手段を存続させておくことも重要だ。ひとつの手段に傾倒してしまうことは、合理性の面でも、経済的な面でもリスクが高い。羽田~伊丹線は2019年度、約529万人が利用している国内第4位の人気路線であり、それを失うことになる伊丹空港は大ダメージである。
主要空港に限らず、地方空港の存続問題やそこで働く従業員の雇用問題など、航空業界、鉄道業界ともに影響は計り知れない。取り組みとしては非常に面白いが、現時点では、日本での施行は現実的ではない。
期待される環境問題への取り組み

航空業界に期待される温室効果ガスの削減だが、路線の廃止以外にもさまざまなアプローチ方法がある。
民間航空機と比較して約20倍の二酸化炭素を排出するプライベートジェットの制限や、バイオ燃料などの持続可能な航空燃料(SAF)の活用などだ。
バイオ燃料に関してはコスト面や供給量で課題山積だが、プライベートジェットへの規制に関しては徐々に進められている。
2023年4月、オランダの主要空港であるスキポール空港は2025年から2026年まで、プライベートジェットと小型のビジネス機の乗り入れの禁止を発表している。
空港にとって大きな利益となるプライベートジェットへの規制はこれまでタブーだったが、少しずつ変化が起きている。