物流ジャーナリストの私が「トラック高速道路無料化」に断固反対するワケ

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「トラックの高速料金を無料化してほしい」、このような要望が、一部の運送事業者から聞こえてくる。運送会社の苦しい台所事情を鑑みれば、気持ちはわかる。だが本当に目指すべきは無料化なのだろうか。

無料化で乗用車の料金は何倍になるのか

軽油の現金価格(円/L)(画像:経済産業省)
軽油の現金価格(円/L)(画像:経済産業省)

 もしトラックの高速料金を無料にすると、これまでトラックが支払っていた高速料金は誰が負担するのか。これは

・税金から捻出する
・トラック以外のクルマ(普通車および軽自動車)が負担する

の2択になるだろう。

 まず後者だが、トラックの高速料金を、乗用車(普通車および軽自動車)が負担するとなると、当然、乗用車の高速料金は大幅な値上げとなる。この値上げを、社会は受け入れられるだろうか。

 2021年度、高速道路と有料道路の1日あたりの通行台数は273万8001台。そのうち、トラック(中型車、大型車、特大車の合計)は、58万4927台である。したがって、高速道路+有料道路における、「普通車+軽自動車」(便宜上「乗用車」とする)の割合は78.6%。対して、トラックの割合は

「21.4%」

になる。だがこれはあくまで通行台数であって、料金ではない。

 料金ベースでの車種別実績が公表されていないため、おおむねトラックの年間走行距離は

「乗用車の5倍以上である」

という国土交通省のリポートをベースに、ざっくりと計算すると、軽自動車はこれまでの約3倍、普通車は約2.5倍の通行料金が必要となる。

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