物流ジャーナリストの私が「トラック高速道路無料化」に断固反対するワケ
「トラックの高速料金を無料化してほしい」、このような要望が、一部の運送事業者から聞こえてくる。運送会社の苦しい台所事情を鑑みれば、気持ちはわかる。だが本当に目指すべきは無料化なのだろうか。
「物流の2024年問題」に全方位であたれ

東京都トラック運送事業協同組合連合会が、2023年5月に発表した「第38回運賃動向に関するアンケート調査結果」によれば、高速料金については92.3%が
「原則として収受している」
「指定された場合のみ収受している」
と答えている。
断っておくが、この調査結果はあくまで東京都の事業者を対象とした団体のものであり、運送業界全体のものではない。筆者の肌感覚だと、高速料金を負担しない荷主が今や少数になっているのは間違いないだろう。
だが、同調査でも「利用しても収受できない」という運送会社が5.9%、また「片道分のみ収受している」という運送会社もいる。
割合としては少ないのかもしれないが、だからといって、高速料金を負担しないといった不埒な行為を看過していては、「物流の2024年問題」をクリアできない運送会社も出てくるだろう。
今、物流に対する改善・変革の機運がかつてないほどに高まっている。これは良くも悪くも、「物流の2024年問題」に代表される物流クライシスが追い風となり、政府を動かし、世論を動かしているからだろう。
だが、こういった大きなムーブメントは、往々にして偏りがちだ。こと「物流の2024年問題」については、待機時間と荷役時間の削減に目が向きすぎているきらいがある。
もちろん、待機時間・荷役時間の削減も大切で有効な施策だが、本稿で取り上げたような、トラック輸送における高速道路料金は
「本来誰が負担すべきなのか」
という、運送のあしき慣習もひとつずつつぶしていく必要があるのではないだろうか。