物流ジャーナリストの私が「トラック高速道路無料化」に断固反対するワケ

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「トラックの高速料金を無料化してほしい」、このような要望が、一部の運送事業者から聞こえてくる。運送会社の苦しい台所事情を鑑みれば、気持ちはわかる。だが本当に目指すべきは無料化なのだろうか。

曖昧で、脇の甘いガイドライン

高速道路を走るトラック(画像:写真AC)
高速道路を走るトラック(画像:写真AC)

 国土交通省が発行した「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進 ガイドライン」(2008年3月発行、2015年2月改訂)では、「トラック運送業において問題となる具体的行為類型」として、以下を挙げている。

「運送受託者が有料道路を利用しなければ、到着できない到着時間等の運送条件が設定された場合、運送委託者が有料道路利用料金を負担しないことにより、代金を減額すること」

 例えば、東京~仙台は高速道路を使えば5時間弱だが、高速道路・有料道路を使わず一般道を走り続けたとしても、8時間ほどで到着する。もちろん、これは休憩を含まず、また渋滞等の道路事情を考慮しない計算上の数値である。

 仮に、荷主が東京~仙台のトラック輸送を依頼する際、積みと下ろしの時間指定を8時間以上開ければ、「有料道路を利用しなければ、到着できない到着時間等の運送条件」とはいえないことになる。

 このような、曖昧かつ脇の甘いガイドラインの存在も、高速料金を負担しようとしない、不埒な荷主の存在を許してきた一因である。

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