三菱スペースジェット失敗の日本こそ、中国初の国産機「C919」に最も学ぶべきワケ

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中国東方航空は、中国の国産旅客機C919を5月28日に上海~北京間の路線に投入した。三菱スペースジェットが失敗に終わった日本にとって、C919に学ぶべきことは多い。いったいなぜか。

複合材の使用率は低いがAl-Li合金を採用

エアバスA350(画像:ジャルパック)
エアバスA350(画像:ジャルパック)

 C919の機体は、主要構造のほとんどを炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で製造するボーイング787などとは異なり、複合材の使用率が20%ほどにとどまっている。その代わり、胴体構造は旧来のアルミ合金ではなく、アルミ・リチウム(Al-Li)合金を使用しているのが特徴だ。

 Al-Li合金は、航空機用の軽量な構造材料として長く研究されてきた歴史があるが、旅客機の主要構造に使用できる完成度を備えた合金の登場は比較的最近で、これを第3世代Al-Li合金と呼ぶことがある。

 本格的な採用に踏み切った機種としてはエアバスA380やA350があり、特にA350では構造材料の39%が複合材、21%がAl-Li合金だという。C919におけるAl-Liの適用はそれほどではなく、アルミ部品のうち8.8%にすぎないともいわれるが、技術的に大きな挑戦課題であったことは間違いない。

 Al-Li合金は、在来型アルミ合金のように切削や曲げ加工できる点がCFRPよりも好まれるが、材料価格は高価である。また、在来合金とは異なるさまざまな特性も持っており、製品に適用するには工作技術の研究開発も欠かせない。

 AVICでは、2010年にAl-Li合金を用いたC919の胴体の研究試作を行っており、製造上の課題や疲労特性などの技術ノウハウを獲得したうえで、最終的にAl-Liの採用に踏み切っている。

 日本の航空機産業はCFRP技術を得意としていることもあって、Al-Li合金の大規模な適用例を持っていないが、国際的にはAl-Li合金がCFRPへの対抗材料として再注目されているのである。

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