低所得者を襲う「エコ意識」 カーボンプライシング自体は超重要も、導入に求められる最適方法とは

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地球環境問題への対応は、自動車業界をはじめさまざまな業界でますます求められていくと予想される。では、いったいどのような制度設計を行えば、効率的に環境の改善を成し遂げていくことができるのだろうか。

環境汚染を引き起こす「外部性」

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 地球環境問題への対応は、自動車業界をはじめさまざまな業界でますます求められていくと予想される。では、いったいどのような制度設計を行えば、効率的に環境の改善を成し遂げていくことができるのだろうか。

 今回紹介する有村俊秀・日引聡『入門 環境経済学 新版』(中央公論新社)は、経済学の観点から、その方法を教えてくれる本である。

 本書は2002(平成14)年に刊行されたものの新版になるが、前半の第1部で環境経済学の基礎的な理論を解説し、後半の第2部では現在日本が直面している環境問題をとり上げている。新版ではこの第2部が大きく改定されており、リサイクルや地球温暖化対策の最新事情なども知ることができるようになっている。

 経済学的に見ると、環境汚染が起こるのは市場に

「外部性」

の問題があるからだ。

 例えば、ガソリンの消費者はガソリンに対して対価を払っているが、副産物である二酸化炭素の排出がもたらす影響に対しては何の支払いもしていない。このような市場の外部で発生する費用を外部費用という。

 生産に要する企業の費用を私的費用というが、社会的に見ると、財を生産するための費用には環境問題によって発生する外部費用も含まれるべきである。つまり、私的費用と外部費用を足し合わせた

「社会的費用」

を考える必要があるのだ。

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