低所得者を襲う「エコ意識」 カーボンプライシング自体は超重要も、導入に求められる最適方法とは
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地球環境問題への対応は、自動車業界をはじめさまざまな業界でますます求められていくと予想される。では、いったいどのような制度設計を行えば、効率的に環境の改善を成し遂げていくことができるのだろうか。
生産抑制に必要なふたつの手段

外部費用が考慮されない場合、その商品は最適な水準よりも多く生産されてしまう。そこで、生産を抑制する必要が出てくるが、この抑制の手段としては
・規制的手段
・経済的手段
のふたつがある。
規制的手段とは、政府が生産者や消費者の行動を直接規制するやり方で、ガソリンの販売量に上限を課すやり方などがこれにあたる。一方、経済的手段には課税と補助金があり、ガソリンに課税することでガソリンの販売量を抑えるやり方などがこれにあたる。
有害物質の排出量を一定以下に規制しようとした場合、規制的手段でも経済的手段でもどちらでも目的は達成できるが、社会的な便益をより大きくするのは経済的手段だという。
ある有害物質の排出を抑えるために、それを生産している企業に対して一律に生産量を減らすことを求めるような規制的手段を取った場合、効率よく生産している企業も効率の悪い生産を行っている企業も同じように削減を求められるが、環境税のような経済的手段を取った場合は、非効率な企業の生産から削減されることになるのだ。このことを示す例として、1992(平成4)年に成立した自動車NOx(窒素酸化物)法があげられる。
この法律は自動車からの窒素酸化物を減少させるためにつくられたもので、環境負荷の高い旧型車の車検の更新を禁止することによって、窒素酸化物の排出削減を狙ったものだった(ただし、当初の対象地域は大気汚染が深刻な東京・埼玉・神奈川・千葉・大阪・兵庫の196市町村)。