低所得者を襲う「エコ意識」 カーボンプライシング自体は超重要も、導入に求められる最適方法とは
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地球環境問題への対応は、自動車業界をはじめさまざまな業界でますます求められていくと予想される。では、いったいどのような制度設計を行えば、効率的に環境の改善を成し遂げていくことができるのだろうか。
法改正と規制対象の拡大
法律は2001(平成13)年に粒子状物質(PM)を含む自動車NOx・PM法に改正され、愛知・三重圏を加えた276市町村地区に規制対象を広げた。
この法では、自動車NOx法を踏襲しつつ、トラック・バス・ディーゼル乗用車の旧型車の利用禁止年を指定する車種規制という思い切った規制を用いている。
これらの法律によって自動車からの汚染物質は削減され、日本の大気汚染の状況は大きく改善した。しかし、強制的に自動車の買い替えの前倒しを迫るこの手法は必ずしも効率的ではなかったとの研究もある。
本書で紹介されている試算によると、車種規制を伴う法規制による便益は6812億円だが、これを環境税によって行えばその便益は1兆3884億円にもなるという。適切な経済的手段が取られれば、その便益は2倍になったというのだ。
こうした経済的手段の活用が期待されているのが地球温暖化問題だ。地球温暖化は1990年代から問題となってきたが、2010年代後半以降、各国がカーボンニュートラルを目指すことを宣言するなど、その取り組みは一段と加速している。
日本も2021年の締約国会議(COP)26で2030年までに2013年度比で温室効果ガスの46%削減、そして2050年のカーボンニュートラルを達成すると発表した。
この温室効果ガス削減のための手段として期待されているのが
・カーボンプライシング
・排出量取引
である。