低所得者を襲う「エコ意識」 カーボンプライシング自体は超重要も、導入に求められる最適方法とは
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地球環境問題への対応は、自動車業界をはじめさまざまな業界でますます求められていくと予想される。では、いったいどのような制度設計を行えば、効率的に環境の改善を成し遂げていくことができるのだろうか。
「カーボンプライシング」「排出量取引」とは何か
カーボンプライシングは二酸化炭素の排出に値段をつける制度であり、経済的手段として効率的に温室効果ガスの削減が進むことが期待されている。
まず、カーボンプライシングはエネルギー価格を引き上げるので、人々を省エネへと向かわせるはずである。さらに、エネルギーあたりの炭素含有量の多い石炭の価格が相対的に上昇し、炭素含有量の少ない天然ガスや太陽光などの再生可能エネルギーが割安になるので、より温室効果ガスの排出量が少ないエネルギーの普及が進むと予想される。
住宅についても断熱性の高いものへの建て替えが進む可能性があるし、自動車もより燃費のいい車への買い替えが進むと考えられる。
日本でも、地球温暖化対策税という炭素税が導入されている。2012(平成24)年から導入され、2021年度時点、二酸化炭素1tあたり289円の税がかけられている。これはガソリン1Lあたり0.7円程度に過ぎず、「価格上昇 → 削減」という効果はあまり期待できない。ただし、税収は令和3年度予算で約2340億円となっており、これが省エネ技術や再生可能エネルギーへの補助金に使われている。
次に、排出量取引は排出枠が定められている国や企業の間で排出枠の取引を認める制度だ。
日本国内では、排出量取引は国レベルでは行われていないが、自治体レベルでは2010年に東京都が、2011年からは埼玉県が導入している。
東京都のものは主にオフィスビルやホテルを対象にしているが、2010~2014年の第一計画期間で目標を上回る25%の削減を実現した(これには東日本大震災以降の電力価格上昇の影響もある)。
埼玉県のものは排出枠を調達できなくても罰則がないというものだが、それでも県内の産業界と連携することで4年間で22%の削減が実現した。