ド派手な「風俗広告トラック」は街の風景か、単なる害悪か? 東京都の規制強化にちらつく役人の浅知恵、曖昧な規制は表現の自由を侵害する
トラックに他県ナンバーが多いワケ

2014年10月、モスクワで女性の胸をトラックの側面にプリントした30台の広告宣伝車が出現するという“珍事”があった。この効果は絶大で、広告に気を取られるドライバーが続出し、一日に
「517件」
もの交通事故が発生し、広告代理店は損害賠償をすることになった。これはさすがに「公序良俗」以上の問題だが、東京ではそこまでのものは走っていない。
条例改正を経ず、施行規則で強引に規制するというやり方が当時問題にならなかったのは、規制によって影響を受ける事業者がわずかだったからだろう。そして、広告宣伝車を扱う事業者は特に反対の声を上げることもなく
「法の網の目をくぐる」
ほうを選択した。規制対象となる広告宣伝車の登録地が都内のものに限られていることから、他県ナンバーの車両を使うことでしのいだのである。
その後、広告宣伝車に対する規制はどうなったのか。都議会議事録を見ると、広告宣伝車に否定的な見解を持つ議員が都の態度を問いただしている発言が、いくつか見つかる。そのひとつを紹介してみよう。
「都内で騒音や景観の支障となるアドトラックの規制について、次は伺います。
アドトラックとは、車の側面や背面に、店舗名や商品、サービス名など巨大な広告物を掲示し、音声や映像を流しながら繁華街を繰り返し低速走行し、宣伝を行っている広告宣伝車であります。都内有数の繁華街を有するここ新宿区におきましても、さまざまな広告宣伝車が走っており、住民や観光客にとって迷惑な問題となっております」(2019年10月31日都市整備委員会、森口つかさ都議の発言)
都議会での広告宣伝車に対する都議の発言は党派の別なく、だいたい同じだ。
「交通の邪魔である」
「都民などに迷惑」
といった形で批判しさらなる規制を促すというものである。これに対しての都の答弁も判を押したように
「協議している」
「調査している」
といったものばかりだ。