率直に言う 「電動キックボード」は、もういらない

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電動キックボードのシェアリングサービスが拡大している。7月の道路交通法改正において一定条件下で免許が不要なることを受けて、都市部ではあちこちに貸し出し拠点が設置されている。ただ本当に安全なのか。

道交法改正は7月

電動キックボードに乗る人(画像:写真AC)
電動キックボードに乗る人(画像:写真AC)

 電動キックボードのシェアリングサービスが拡大している。7月の道路交通法改正において一定条件下で免許が不要なることを受けて、都市部ではあちこちに貸し出し拠点が設置されている。

 サービスをけん引するループ(東京都千代田区)は投資ファンドなどから45億円を調達し、貸し出し拠点を2025年に現状の3倍となる約1万拠点まで拡大することを発表している。

 しかし、電動キックボードの認知が進む一方、安全対策は全く追いついていない。7月の法改正は電動キックボードが抱える問題点を解消できないまま

「見切り発車」

で行われるのだ。筆者(山本肇、乗り物ライター)はここで問いたい。日本に住む人たちは

「本当に電動キックボードを求めているのか」

と。インターネット上の意見を見るに、反対派は決して少なくない。

パリでは継続をめぐって住民投票も

パリ(画像:写真AC)
パリ(画像:写真AC)

 電動キックボードの危険性が問題となり、規制される動きは日本以外でも起きている。とりわけ大きなニュースになったのは、4月にパリで実施された電動キックボードのシェアリングサービス継続をめぐる住民投票の結果だ。

 この投票では、反対意見が大多数を占めた。もともと、パリの電動キックボードは2018年にアメリカの事業者が始めて導入したものだが、現在では1万5000台が導入され、月間利用者はのべ約40万人となっている。

 電動キックボードは確かに利点もあった。フランスでは普及によって、2021年には

「700t」

の二酸化炭素の削減効果があったとされている。環境負荷を低減する方法として、電動キックボードに利があったことは確かだ。

 一方、事故も拡大していた。フランスの国立医学アカデミーによれば、同国のキックボードなど電動モビリティの事故による死者は、2021年に22人に上った。また、歩行者への衝突事故も相次いでおり、専門の事故被害者支援団体も結成され、彼らは全廃を求めている。

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